静かに命を……酷暑は「サイレントキラー」 対策改善で53兆円分の効果も 暑さは新しいフェーズに?【#みんなのギモン】
■事務局長「人権問題であり経済問題」
加納解説委員 「ILOのジルベール・ウングボ事務局長は、『世界が気温上昇とたたかう中、労働者を熱ストレスから守らなければならない。これは人権問題であり、経済問題でもある』と述べています」 「報告書では、過度な暑さによる労働災害を防ぐための対策を改善すれば、世界全体で最大3610億ドル、1ドル=147円で計算すると、日本円で約53兆670億円の逸失利益(事故などにより失った利益)を減らすことができるとしています」
■国連事務総長も対策強化を呼びかけ
加納解説委員 「国連のグテーレス事務総長も、『気温上昇に立ち向かい、人権に根ざしつつ労働者をいっそう保護しなければならない』と、緊急の対策強化を呼びかけました」
■世界規模の平均気温は…今後どうなる?
桐谷キャスター 「異常な暑さは不安にもなりますが、今後この暑さはどうなっていくんですか?」 加納解説委員 「世界がどれくらい暑くなっているのか。6月の平均気温を過去(1951年~1980年)のそれと比べた、アメリカのNASAが分析した画像(8月7日時点)があります」 「過去の平均気温より2℃以上上がっている赤の部分や、同じく 4℃以上上がっている黒っぽい赤の部分が10年前の2014年に比べて今年はぐっと増えています。世界規模で平均気温が上がっていることが分かります。日本は赤が濃くなっていますよね」
■専門家に聞く…暑さの原因に「風」も
森アナウンサー 「人類が生まれてからの地球の歴史を見てみても、2000年以降の地球の温度は急激に上がってきていると言われています。温室効果ガスの排出削減をやっていますが、1年や2年我慢したらどうにかなるというレベルの上昇率じゃないですよね」 加納解説委員 「そうなんです。この暑さの原因について、気候変動・異常気象に詳しい東京大学の中村尚教授は『温暖化に伴い、1980年代から気温の上昇が続いている中で、日本などは去年急激に上がり、さらに今年は去年を上回るぐらい上がった地域がある』と指摘します」 「その理由の1つに、上空の偏西風の蛇行があるといいます」