静かに命を……酷暑は「サイレントキラー」 対策改善で53兆円分の効果も 暑さは新しいフェーズに?【#みんなのギモン】
■23区、7月の熱中症疑いの死者数は
加納解説委員 「また、東京都監察医務院によると、東京23区で7月に熱中症の疑いで亡くなった方は速報値で123人に上ったことが分かりました。亡くなった年代は40~90歳以上ですが、最も多かったのは80代でした」 「また123人のうち、屋内で亡くなった方が121人にもなります。この屋内で亡くなった方たちで、エアコンがなかったのは28人。一番多かったのは、エアコンはあるのに使っていなかったという方で、79人と半数を超えています」 鈴江奈々アナウンサー 「ご高齢の方は、暑さもなかなか感じにくいという話を聞きます。実際に石川・輪島で取材した時に、移動販売をしている方が扉を開けたら、ご高齢の方がエアコンがあってもつけていなくて、暑さに(本人が)気付いておらず、慌ててお声がけしたと聞きました」 「(暑さを)感じにくいご高齢の方には積極的に声かけをしたり、熱中症警戒アラートが出ていたらその日は(エアコンを)つけると決めてつけていただくなど、積極的に利用してもらいたいですね」 加納解説委員 「異常な暑さは体へのストレスとなって、熱中症などを引き起こすばかりか、気付かぬうちに命を奪う『サイレントキラー(静かな殺し屋)』になるといいます。心臓や腎臓などの持病を悪化させ、死亡リスクが高まる恐れも指摘されています」
■ILO、労働者に関する報告書を発表
加納解説委員 「ILO(国際労働機関)が7月25日、厳しい暑さが労働者に及ぼす影響についての報告書を発表しました。その中で、過度な暑さにさらされている労働者は、世界平均で71%でした。最も多かったのはアフリカで、92.9%でした」 「日本を含むアジア太平洋地域でも世界平均を上回る74.7%で、4人に3人の労働者が、過度な暑さにさらされているという現状になります」
■過度な暑さで…労働災害が増えた地域は
河出奈都美アナウンサー 「だいぶ前から、地球温暖化によって地球全体の気温が上がっているとは言われていましたが、子どもの頃はまだそこまで実感がありませんでした。ただ、もうここまで来ると、いよいよ命に関わる深刻な問題になってきているのかなと感じますね」 加納解説委員 「不安になりますよね。2000年以降、過度な暑さによる労働災害が増えた地域は、地域別では南北アメリカ、ヨーロッパ、中央アジアです。ILOは『労働者が暑さに慣れていない地域で気温が高くなったためではないか』とみています」