【保存版】「異例のシーズンだった」PGAツアー。レックス倉本が2024年シーズンを大総括
終始群を抜いていたシェフラーの強さ
そんな異例のシーズンにおいて、群を抜いた成績を収めたのがスコッティ・シェフラーです。賞金、フェデックスポイントともにぶっちぎりの1位。パリ五輪でも優勝し、出場21試合で9勝と圧巻のシーズンでした。 彼の武器は何といっても飛距離とコントロール性が両立したショット力です。トータルドライビングとパーオン率の順位を合算した「ボールストライキング」で1位、平均ストロークも唯一の68台を記録しており、ティーグラウンドからグリーンまでの戦闘力はダントツです。 近年のPGAツアーは飛距離偏重型とも言われるように、コースの総距離が7500ヤードを超える試合も少なくありません。そんなセッティングにおいて、65%以上のFWキープ率を誇りながら平均飛距離が300ヤード超を誇るシェフラーのドライバーショットは、現代のPGAツアーを制するのに非常の相性の良い能力だと言えます。 これくらい他を寄せ付けない成績が続けば、モチベーションの維持や自分を律するのが難しくなりそうですが、シェフラーにそのような死角は見当たりませんでした。同伴プレーヤーやメディアからの評判も非常によく、勝ち続けていても浮かれずに同じ努力を続けられる人間力も兼ね備えています。トップの選手がこのような姿勢は、後に続く若手の良い模範となり、ツアー全体のレベルアップにつながるでしょう。
シェフラーとは大きく差を開けられてしまったものの、賞金ランク2位、フェデックスポイントで6位につけ高い次元で安定感のあるプレーを見せてくれたのがザンダー・シャウフェレです。 今シーズンのハイライトは、自身メジャー初優勝となった全米プロのウイニングパットでしょう。外せばブライソン・デシャンボーとプレーオフという場面で、見事に打ち切り初日から首位の座を守りきる完全優勝を果たしました。 その後も6月の全米オープンでは7位、7月の全英オープンで優勝とこれまでメジャーで勝てていなかったとは思えない強さを見せました。もともと爆発力があるというより、どんな状況でも平常心でプレーできるのが彼の強み。メジャーに関してもいつ勝ってもおかしくないというプレーは見せていました。 シェフラーのように身長は高くなく、飛ばし屋とは積んでいるエンジンの違いを感じてはしまいますが、練習から丁寧なルーティンを崩さずコースでもそれを再現できるメンタルの強さを持っています。プレースタイルは全く違いますが、来季もシェフラーの対抗馬となる活躍を期待したいと思います。