国内絶不調のマツダが高級SUV「CX-80」に託す希望、2年ぶり国内新車で競合ひしめく市場に参戦
「国内販売は足元で少し苦戦が続いている」 マツダの毛籠勝弘社長は険しい表情でそう語る。その上で、国内では約2年ぶりの新型車について「お客様にしっかりアプローチしていくことで反転のきっかけに使っていきたい」と期待を滲ませた。 【グラフ】マツダの国内販売は今年8月まで9カ月連続で前年同月割れだった 10月10日、マツダは大型SUV(スポーツ用多目的車)「MAZDA CX-80」を発売した。ボディサイズは全長4990mm×全幅1890mm×全高1710mmで、国内のマツダ車(乗用車)では最大となる。トヨタ自動車の大型ミニバン「アルファード」の全長4995mm、全幅1850mmと比較するとその大きさがわかる。
車両価格(税込み)は394万3500~712万2500円。こちらもマツダが国内で販売する乗用車として最上位帯に位置する。まさにマツダのフラッグシップモデルとなる。 ■不振の新車市場で高まるSUV人気 東日本大震災以降はおおむね年間500万台超を維持していた国内の新車販売だが、コロナ禍を機に400万台半ばに水準が切り下がってしまった。2023年度は半導体不足があった前年度からやや回復したとはいえ、5年前からは13.9%減の452.8万台と低迷する。
一方、SUVは利便性や意匠性の高さから人気を博している。2023年度の国内市場での販売台数は約83万台で、5年前から約1.6倍に拡大した(SUVの台数は軽自動車を除く登録車)。最近では500万~600万円台といった高価格帯の販売が伸びており、マツダとしてはこの需要を取り込む狙いがある。 高額車であるCX-80の月販目標は1400台と決して多くはないが、国内販売の反転攻勢のきっかけになれば、と期待する。
冒頭のコメントは10月初旬に開かれたCX-80の取材会でのもの。こうした言葉が飛び出すのは、毛籠社長が認める通り、マツダの国内販売が厳しい状況にあるからだ。 昨年12月から今年8月まで9カ月連続で前年同月比マイナスを記録した。9月こそ12.5%増と反転したものの、2024年1~9月累計では25.5%減。今年度となる4~9月で見ても21.6%減。これは国内乗用車メーカーでは認証不正の影響を受けているダイハツ工業に次いで悪い数字だ。