ドームから360度の眺望を楽しめる客車、ビールの試飲会も 日本語を話すスタッフも乗務、カナディアン乗車記④ 「鉄道なにコレ!?」【第60回】
カナダ最大都市の東部オンタリオ州トロントと西部ブリティッシュコロンビア州バンクーバーの約4466キロを約97時間で結ぶVIA鉄道カナダの看板列車「カナディアン」には、中央に突き出した2階のドーム形部分から360度の眺望を楽しめる客車「スカイラインドームカー」が連結されている。道中はイベント車両としてカナダが誇るクラフトビールの試飲会などを開催し、私が乗った際には日本語も話せるスタッフが乗務していた。(共同通信=大塚圭一郎) 「空気を運んでいる」ローカル線は存続?廃止?
※筆者が音声でも解説しています。「共同通信Podcast」でお聴きください。 【スカイラインドームカー】アメリカの金属加工メーカー、旧バッドなどが製造した1954年登場の旧型ステンレス製客車の一部で中間車。名称は1933年にカナディアンロッキーを踏破したハイキング愛好家団体「スカイライン・トレイル・ハイカーズ・オブ・ザ・カナディアンロッキー」に由来する。 カナディアン・パシフィック鉄道(CP、現在の貨物鉄道大手のカナディアン・パシフィック・カンザスシティー)が発注して1954~55年に製造。CPは不採算だった旅客鉄道部門を1977年に設立された国営企業のVIA鉄道カナダへ翌78年に引き継いだ際、スカイラインドームカーを含めた車両を譲渡した。 VIA鉄道は「カナディアン」の他に、中部マニトバ州のウィニペグ―チャーチル間を走る夜行列車(本連載第37~42回参照)にもこの中間車を連結している。
▽ドーム形の天井まで窓、展望席のある中間車は2両を連結 2023年の冬休みにカナディアンの「寝台車プラスクラス」の2人用個室を予約し、息子とともにトロント・ユニオン駅からバンクーバー・パシフィック・セントラル駅まで全路線に乗車する完全乗車、いわゆる〝完乗〟をした。 食事の際に食堂車(本連載第59回参照)に赴いたのはもちろんだが、日中は他の時間も個室寝台をほぼ空けていた。だいたいの時間は列車の最後尾に連結している展望車の「パークカー」(本連載第58回参照)か、中間車のスカイラインドームカーで過ごした。 というのもパークカー、スカイラインドームカーはともに2階部分の展望用座席から360度の車窓を満喫できるからだ。1階からの階段を上がると通路を挟んで左右二つずつの座席が6列、計24席あり、ドーム形になった天井の付近まで窓が延びている。 スカイラインドームカーの1階にはテーブル席や長いすを置いたコーナーもあり、車両全体で計62人が着席できる。