家電のECレンタル・サブスクを推進、商品を渡すビジネスモデルへの変更で業容拡大
所有権移転モデルを採用。「払いすぎている」というサブスクのイメージ払拭につなげる
――EC事業における自身のチャレンジを教えてほしい。 三輪氏:家電販売企業に勤めていた際、お客さまから「家電を借りたい」「買ったけれど気に入らない」という意見が寄せられていた。仕事以外の経験では、結婚式の余興で獅子舞が必要になることが多かったが、レンタルだと2万円、購入すると3万円かかる。 こうした経験から、「商品をレンタルするビジネスが儲かるのではないか」と思いレンタルビジネスを調査。ニーズや売り上げを立てる方法を学び、サブスクビジネスにチャレンジしていった。 また、所有権移転モデルを採用することで、サブスクにありがちな「払い過ぎている」というイメージの払拭につなげた。ただ、商品価格以上のサービス料を支払うようになると、「レンティオ」の評価が下がることになってしまう。
そのため、損失はあるが「レンティオ」らしさを出すために、2020年11月から商品ごとに定められた期間を超えると所有権がユーザーに移転するモデルに切り替えた。月額制プランの新規注文は、ビジネスモデルを変更してから顕著に伸びており、所有権の移転によって売り上げにきちんとつなげられている。
■ 「新たな売り方ができる場」を提供し、メーカーからの満足度も高い ――「レンティオ」ならではの魅力、やりがいは。 三輪氏:ユーザー満足度が高いことがうれしいし、やりがいにつながっている。 サービスの仕組み上商品を返品するのだが、手紙を封入しやすいということもあってか、お客さまから感謝の手紙をいただくこともある。そういう手紙をいただけることもやりがいにつながっている。モノを売るだけでなく、お客さまに買わなくても良いモノを提案し、面倒な手間や予算を抑えて気になるモノを利用できるサービスを提供することが、感謝されることにつながっているのだろう。 メーカーにとっても新しい商品の売り方になっていると思う。通常の小売だと価格競争になってしまうが、私たちがメーカーの良いモノをお客さまに理解してもらえる場を提供することで、お客さまに納得して商品を利用してもらえる機会につながっている。「商品をレンタルしたお客さまのうち、何割が購入につなげているか」といったデータの共有もしているため、メーカーからの満足度も高い。 ――今後の事業戦略、成長計画についてうかがいたい。 三輪氏:今後は取扱商品のジャンルを広げていきたい。サービス開始当初はカメラがほとんどだったが、2019年から家電を取り扱ったことで事業が拡大。リピート率が向上しただけでなく、ユーザーからの評価も上がった。現在は、家電以外の着物なども伸びてきており、家電以外を伸ばすことでリピート率向上やロングテールを作ることにもつなげられるだろう。