新潟に異色のドラフト”隠し玉”156kmサイドスローの前川哲…日ハム、巨人、中日がリストアップ
プロを意識したのは、独立リーグ2年目のシーズンだという。 「高校を卒業して野球は辞めるつもりだったんです」 地元企業への就職も内定していた。 だが、新潟産業大附属高校のコーチから「辞めるのはもったいない」と新潟入りを薦められて「気が乗らないまま」入団テストを受けたら合格した。自分の意思というより周囲に背中を押されて独立リーグに入団したが、そこには厳しい現実が待ち受けていた。 「そんな甘い気持ちでしたから練習への意識も低く、まったく通用しませんでした。でも、のままならクビになると考え始めたとき、野球への情熱が確認できたんです。オフから真剣に野球に向かい合いました」 2年目のシーズンを終えたとき巨人とオリックスから調査票が届いた。以降、毎年、調査票が届き「NPBへ入りたいという気持ち強くなった」という。 理想の投手像として、左右の違いはあれど、日ハムの“鉄腕サイドスロー“宮西尚生の名を挙げる。 「あれだけ投げ続けて結果を出し続けているのが凄いです。僕も肩、肘を壊したことがありません。いくら投げても大丈夫。プロに入ることができるならシーズン50試合登板を目標にしたいと思っています」 12年連続で50試合登板を成し遂げて通算700試合登板をクリア、通算337ホールド、通算370ホールドポイントの金字塔を打ち立てた宮西は、中継ぎのスペシャリストを目指す前川の大きな目標だ。 だが、チーム公式サイトのプロフィールの「憧れの選手」の欄には、ロッテの二塁手、中村奨吾の名前を挙げている。これには、こんなエピソードがある。 3年前に沖縄石垣島のロッテ春季キャンプで雑用のバイトをしたことがあった。球場と宿舎の選手の荷物運びから練習中の手伝いまで行ったが、たまたま宿舎のエレベーターで一緒になった中村から優しく声をかけられたという。 「バイトの僕にまで低姿勢で気を使ってくれた心の広さに感動し、尊敬の念を抱きました。プロ野球選手になるなら、こういう人になりたいと」 バイトをしながらプロの力も肌で知った。 「涌井さん、唐川さん、益田さんら一流の人はキャッチボールからして違いました」 その一方で「生意気なようですが、自分とそう変わらないんじゃないか」と感じた若手投手も少なくなかった。それらの経験が前川のプロへの憧景をより強くした。