新潟に異色のドラフト”隠し玉”156kmサイドスローの前川哲…日ハム、巨人、中日がリストアップ
実は、昨年も巨人とオリックスから調査票が届いていたが、指名漏れした。しかし、今年のドラフトを待つ心境には大きな違いがある。昨年は、オーバースローからサイドに変えて、まだ数か月しか経過しておらず試行錯誤中だったが、今年はフォームも固まり、防御率2.36、11セーブという結果も残した。 前川曰く、スリークォーターとサイドスローの間くらいに位置に腕を下げる「スリークサイド」に変えたのは、昨年の7月だ。 キャッチボールやノックの動きを見ていた日ハム、オリックスでプレー経験のある清水章夫監督と、現巨人3軍バッテリーコーチの加藤健コーチから「体の使い方は、オーバースローよりサイドスローが合っているように見える。チャレンジしてみたらどうか」との助言を受けた。 強制ではなかったが、ユーチューブで、元新潟監督でもある日米通算313セーブの高津臣吾・現ヤクルト監督、元巨人の斎藤雅樹、元ヤクルトのクローザー林昌勇ら過去に実績を残しているサイドスロー投手の動画を片っ端から見た。清水監督、加藤コーチの指導を受けながら「真似ではなく、一番投げやすく、ボールに力が伝わりやすい場所を探し腕を下げていった」ところ“スリークサイド“がピタリとはまった。課題だった制球が安定し「ストレートの球速がもう一段階上がった」という。7月の信濃戦で156キロをマークした。 スピードアップの背景には“スリークサイド“への転向と共に2年前から本格的に取り組んできた肉体改造がある。体重は、6年前の入団時に比べて、なんと25キロも増えて現在93キロ。3年前のオフに派遣された豪州のリーグでフィジカルトレーニングの必要性に気づき、シーズンを通じて専門家の指導を受けてトレーニングを継続してきた。体脂肪は、「増えすぎでもダメですが、野球選手の場合、減り過ぎても出力が落ちる」と、15パーセント前後をキープしながら、綿密に肉体を強化した成果が、常時150キロのストレートを実現させた。 持ち球は、ストレート以外にシュート、スライダー、チェンジアップの3つ。特に自信があるのは、「シンカー気味に凄く曲がる」と自負する150キロ台の超高速シュートだ。左打者対策用に取り組んだボールだが、右打者にも体に向かって動くため”必殺のボール”になった。150キロ台のストレートと150キロ台のシュートで変化をつけられたら打者はついていけない。