AIエージェントの事例5選、ウォルマート、NEC、NTTデータの“面白い活用法”を解説
企業事例(2):パナソニック コネクトの「個人特化AI」
パナソニックコネクトは生成AIの活用をかなり早い段階から全社で進めてきた企業の1社だ。年間18.6万時間という膨大な労働時間を生成AI活用で削減するなど、AI活用における実績もある。 同社の生成AI活用の特徴は、段階的に活用を深めてきた点にある。まずは既存の汎用AIを社内で徹底活用するところからはじまり、徐々に自社公開情報をAIに参照させながら固有の情報を回答させる「自社特化AIの活用」にステップアップしていった。そして最近では、自社固有の社外秘情報についても参照させることで、より踏み込んだ回答をさせる自社特化AIの活用へと活用段階を発展させている。 今後は個人の業務や役割に応じて回答してくれる個人特化のAIの提供を通じて、従業員の業務を支援していく方針だ。
パナソニック コネクトが考える「AIの3段階進化モデル」
同社は、AIの発展段階を「3つの進化モデル」に整理して捉えている。この発展段階の1つに、AIエージェントが大きく関係している。 進化モデルの1段階目は回答型AIのオラクル型だ。学習データをもとに質問に対して回答を行う現在の一般的に活用されている生成AIのあり方だ。 進化モデルの2段階目はタスク実行型AIのジーニー型だ。複数の関連システムと連携し、タスクを実行する。たとえば下図のように出張の要件を伝えた上で、AIが出張申請、交通機関手配、宿泊先手配と、複数のタスクの実行してくれる、というものだ。 進化モデルの3段階目は目的達成型AIのソブリン型だ。継続的に計画、実行、評価を行い目的達成する。たとえば下図のようにマーケティングにおいて問い合わせを100件獲得したいといった目的を与えると、目的達成のためにPDCAを繰り返しながら、さまざまな業務を複合的に実施してくれるイメージだ。 同社はこれらの進化モデルを1つずつ乗り越えていくことで、最小限の人の介入で自律的にAIが業務をこなす「オートノマスエンタープライズ(自律型の企業)」が実現できると考えている。