AIエージェントの事例5選、ウォルマート、NEC、NTTデータの“面白い活用法”を解説
活用例(1):所属する部署・部門の仕事を助けてくれる
今後、AIエージェントが、各部門の持つデータを学習したり、RAGによって参照することで、自律的に業務を支援してくれる存在になるかもしれない。 たとえば、経理・法務部門の業務であれば、会計システムの財務データ、会計・法律知識や、過去の事象に対する対応結果などを学習したりRAGによって参照しながら、目標の達成に向けて自律的に判断しながらタスクを処理してくれるようになるかもしれない。他方、経営企画であれば、競合他社の財務データやIRデータ、財務データ・経営データ、過去の戦略意思決定とその結果などが対象データになるだろう。 このように、各部門の中にそれぞれAIエージェントが存在するような状況が出てくる可能性がある。そして段階的にはなるが、これらの個別業務ごとのエージェントを管理したり、それぞれの連携を支援する全体管理や監視するAIエージェントも中長期的には生まれてくる可能性があるだろう。
活用例(2):ERP・PLMなど…各システムの司令塔になる
今後、企業が利用しているシステムの情報を学習したAIエージェントが登場し、効率化を進める形になっていくかもしれない。たとえば、すでにSAPが提供するERPにAIエージェントが搭載されているが、このように、あらゆる業務システムにAIエージェントが搭載されていく可能性がある。 そして、今までシステムごとに細分化・分断される傾向にあったデータを、システム間の連携・統合を進めてくれることに加えて、データフォーマットの変換なども行ってくれるAIエージェントが登場してくるはずだ。 そして、部門ごとに存在するAIエージェントと、システム単位に存在するAIエージェントの双方を組み合わせ、業務を効率化・組み換えをしていくような働き方が未来の姿となる。 ここからは、実際に存在するAIエージェントの事例を紹介していきたい。
企業事例(1):博報堂テクノロジーズの「ブレストAI」
AIエージェントの1つの方向性として、異なる役割を与えた「人格(AI格)」を複数用意し、それら複数の視点から1つのテーマを議論・検討をさせるという活用が考えられる。 従来であれば、こうしたディスカッションを実施するには、適した人材の時間を確保する必要があったが、ディスカッションに参加する人材の時間調整を含む、プロセス全体を効率化することができるようになる。 この活用方法を実践しているのが博報堂テクノロジーズだ。博報堂テクノロジーズでは、製品開発に必要な専門知識を持たせた複数のAI同士に自律的に議論をさせ、アイデア創出と意思決定につなげる仕組みがある。企画・製造・物流・リテール営業など、それぞれの立場と専門知識を持つAIエージェントの間でブレインストーミングを実施させて、顧客の商品企画・開発を支援しているのだ。 このアプローチは、製品開発に限らず、仮想消費者調査、経営意思決定、投資の判断、採用方針の検討などさまざまな領域に応用が想定される。