【最果タヒさん】インターネット発詩人の「SNSとの付き合い方」「顔出ししない理由」
取材日は、サイン本を作るために出版元のリトルモアに来ていた最果さん。ゴールドやシルバーのペンを使って、本に自身のサインと詩の1フレーズを丁寧に書き添えていきます。ペンが入っているポーチは、絵本『わたしのワンピース』(にしまきかやこ著/こぐま社)のうさぎのキャラクターが書かれているもの。「小さい時から家に絵本がたくさんあったので、絵本が好きなんです」。 後半では最果さん今好きな宝塚、自身を育ててくれたという絵本について聞きます。また顔出しせずに活動を続けている理由やネットリテラシー、詩へ込めた思い、仕事論についても語ってくれました。(この記事は全2回の第2回目です。第1回目を読む)
生まれて初めてその人そのもの・その人自身を好きになった、宝塚の俳優さん
最果さんが、今好きなことは宝塚歌劇団の舞台を観ること。5年ほど前に初めて鑑賞してから好きになり、頻繁に足を運ぶようになりました。宝塚にまつわる連載も3本あり、“心のウェルネス”では好きな宝塚の俳優さんに手紙を書くことを挙げてくれました(記事末参照)。 「もともと宝塚ファンを描いた漫画『ZUCCA×ZUCA』(はるな檸檬著/講談社)が好きで、何度も読んでいました。宝塚への情熱を面白く愛おしく描いているのがすごく好きで。読んでいると、誰かを好きでいることがとても可愛らしいことに思えるんです。あまりにもこの漫画が好きなので、宝塚そのものも観た方が良いのでは……と思い始めて。それで実際に観てみたら、見事に好きになりました(笑)。観る時間は幸せそのものですし、すごく尊敬して素敵だなと思う人が舞台に立っているのは最高です!」 それまで好きなアーティストや作家はいたものの、その人自身ではなく、その人が作る作品が好きでした。だからこそ、その人そのもの・その人自身が好きという感覚が新鮮だと言います。 「作品そのものを楽しむ気持ちもあるのだけれど、同時に、舞台は『その場所にその人がいる!』ということにすごいパワーがあって、それが一気にこちらに届く感じがして。その人がそこにいるというキラキラで、心がいっぱいになることがあります。本当に好きだなぁ、大好きだなぁって気持ちでいっぱいになれる感じが、幸せなんです。舞台は生身の人が、その瞬間を演じていて、それを私もその場所で受け取って、同じ時間を共有しています。そして私はその瞬間を、自分の人生の一瞬として記憶していく。だから心が動く時、その人を丸ごと好きになってしまうんだろうなぁって思います。なんだか応援している人を客席で見ていると、燃えている炎を見つめているような気持ちになります。自分の人生の一瞬が、一人の人の人生の炎を受け取るためにあって、そして自分もそのために今燃えているんだ!って実感します。それって本当に特別な時間です。青春ってこういうものなんだな、って心から思います」