米国における生成AI利用、PCとインターネットの黎明期を超える普及率に、最新データが示す生成AI活用の実態
実際の利用率を見ると、広範な活用実態が浮かび上がる。職場での生成AI利用者の57%が文章作成に活用し、49.4%が情報検索、47.8%が詳細な指示やドキュメント作成に利用している。調査対象となった10種類のタスクすべてにおいて、24.9%以上の利用率を記録。AIモデル/アプリケーションの精度向上により、これらの利用率はさらに高まることが見込まれる。 具体的な使用時間を見ると、職場での生成AIユーザーの25%が1日1時間以上利用し、52%が15分から1時間利用している。利用頻度と時間には正の相関が見られ、毎日利用するユーザーの42%が1日1時間以上活用しているという。 これらの数字を基に、研究チームは生成AIの労働生産性への影響を試算している。現状では、全労働時間の0.5%から3.5%が生成AIによってアシストされていると推定。また、最近の研究で示された、生成AI活用によってタスクの生産性が平均25%向上するとの仮定に基づくと、労働生産性全体は、0.125%から0.875%の上昇が見込まれるという。 ただし、研究チームはこの試算について慎重な見方も示している。現在の利用者は、最も生産性向上が見込まれる用途から優先的に活用している可能性が高く、利用が拡大するにつれて収益逓減の法則が働く可能性があるためだ。一方で、技術自体の進化により、より広範な用途への応用が可能になることも考えられる。 この調査結果は、生成AIが既に職場における汎用的なツールとして定着しつつあることを示すもの。特に、文章作成や情報処理といった知的作業において、生成AIは既に重要な役割を果たしていると言える。今後は、技術の進化とともに、さらに多様なタスクでの活用が進むことが予想される。
文:細谷元(Livit)