メルセデスAMG GT 詳細データテスト 高まった安定性 神経質さの残るハンドリング 低い静粛性
各ギアの最高速
1速:54.7km/h(7000rpm) 2速:88.5km/h(7000rpm) 3速:128.7km/h(7000rpm) 4速:175.4km/h(7000rpm) 5速:238.2km/h(7000rpm) 6速:289.7km/h(7000rpm) 7速:315.4km/h(7000rpm) 8速:315.4km/h(7000rpm) 9速(公称値):315.4km/h(3243rpm) 9速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1633rpm/1871rpm
結論 ★★★★★★★☆☆☆
これは結論を下すのが難しいクルマだった。一方でメルセデスAMG GTの2代目は、耳をつんざくオールドファッションなV8を積み、そのパフォーマンスを日常的に年がら年中楽しませてくれる駆動系の安全性を確保したスマートなスタイルのクーペだ。さらに、広く快適なインテリアには、大きくて使いやすい形状の荷室や、最新のインフォテインメントを備えた。 一見すると、これはまさにソウルフルで順応性がある、懐の広いGTのヒーローで、見ていてうれしくなるクルマだ。しかし他方では、プラットフォームをSLと共有した、妥協の痕跡も否定できない。 AMGは2代目GTを、先代よりも馴染みやすいクルマに仕立てようとした。だが、動きには激しやすいところもしばしば見られ、巡航スピードでは明らかにうるさい。また、先代にあった走りの特殊性も多少ながら残っており、それでいて笑いが止まらないくらいスロットルで車体の向きを変える能力は放棄している。 結局、この力強いAMGは、どういうクルマになりたかったのかという点でやや迷いがあったように思える。そういうものが、卓越したスポーツカーになれることはめったにない。 ■担当テスターのアドバイス ◆リチャード・レーン まろやかになったGTだが、この新型プラットフォームでのGT3クラスのレースカー製作を、AMGはやめないはずだ。先代ではビジネス的に大成功を収めているのだから。ちなみに先代は、ロードカーの4.0Lツインターボではなく、SLSの6.2L自然吸気を搭載していた。そうなれば最高だが、今回は無理だろう。 ◆マット・ソーンダース 多くの点で、このクルマの主役はやはり、これまでどおりアファルターバッハで手組みされるV8だ。7速で60km/h弱から320km/h近くまで引っ張れるのはすばらしい。 ■オプション追加のアドバイス 英国仕様の63は、プレミアムプラスとアルティメットの2グレードで、後者はリアスポイラーとAMGダイナミックプラスパッケージが備わる。また、期間限定で設定される発売記念のローンチエディションは、ゴールドのホイールを装備して、価格は18万ポンド(約3456万円)だ。 ■改善してほしいポイント ・先代には十分すぎるほどあった、スロットルでのアジャスト性を取り戻してほしい。これは4WDのキャラクターを残したままでもできるはずだ。 ・エントリーグレードとなる後輪駆動仕様もほしい。 ・フロントのアグレッシブなジオメトリーは、多少穏やかにしてもらいたい。ターンインがちょっと不自然に感じることがある。
リチャード・レーン(執筆) マット・ソーンダース(執筆) ジャック・ハリソン(撮影) 関耕一郎(翻訳)