【今年初の上場企業倒産】東証グロース上場の日本電解が民事再生
日本電解(株)(TDB企業コード:113018767、資本金23億5846万9602円、茨城県筑西市下江連1226、代表中島英雅氏)は、11月27日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。 申請代理人は築留康夫弁護士(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業、東京都千代田区大手町1-1-2)ほか5名。監督委員は小畑英一弁護士(TF法律事務所、東京都千代田区平河町2-7-5)が選任されている。 当社は、1958年(昭和33年)10月に(株)日立製作所などの出資により創業した旧・日本電解(株)(2019年10月に解散)が前身。その後、2016年(平成28年)6月に三井物産、三井住友銀行、日本政策投資銀行が出資するMSD企業投資(株)により設立された法人が、2019年10月に旧・日本電解(株)を吸収合併し事業を承継。現在の当社<日本電解(株)>となった経緯がある。 車載電池用および回路基板用の電解銅箔の製造販売を手がけ、旧会社時代には高品質で耐久性、信用性の高い銅箔材料の安定供給に努めてきた実績から継続的な受注基盤を確立。事業承継後の2020年3月には米国の銅箔製造業者Oak-Mitsui Inc.(現・Denkai America Inc.)を子会社化し、2021年6月には東証マザーズ(現・東証グロース)に上場するなど業容を拡大してきた。以降は、日米生産体制の早期拡充や顧客基盤拡大によるシェア確保と高付加価値商品・技術の競争力強化を掲げ、2022年3月期には年売上高約152億8100万円を計上していた。 しかし、世界的な半導体不足や米国インフレ抑止法施行による国内製造バッテリーの輸出減少、スマートフォン需要の減退などから上述の米国子会社の赤字が常態化。また、輸出セル用銅箔の需要低迷や整流器故障による回路基板箔の販売減などに加え、銅価格の急騰による収益悪化により事業環境は悪化していた。その後、収益改善に尽力したが米国子会社での収益改善は叶わず、11月27日に同社の解散及び清算を決議。これに対する貸付金等の回収が困難となる見込みになったことから、今回の措置となった。 負債は債権者約200名に対し約147億6100万円。 なお、上場企業の倒産は2023年12月に会社更生法を申請した(株)プロルート丸光(東証スタンダード)以来で今年初。