「インフルエンサーに媚びてる」と批判も…「ほっかほっか亭」がXに投稿した、料理研究家・リュウジへの“コラボ依頼”は、“第二の「10分どん兵衛」”となれるのか?
リュウジさんとのコラボが実現するかどうかはわからないが、現時点でも話題性は十分あったと思う。一方で、批判的な意見にも一理あると思う。 たとえ味が良くなったとしても、ほっかほっか亭の既存顧客が、リニューアルした商品を受け入れてくれるかどうかは未知数だ。 ■インフルエンサーの意見と顧客のニーズは一致するか マーケティングの教科書にも載っている有名な失敗例として、米コカ・コーラ社のニュー・コークの事例がある。
ペプシコーラの攻勢に対抗して、1985年に新しい味の「ニュー・コーク」を発売した。事前の味覚テストは好評だったにもかかわらず、実際に発売したら多くの消費者から猛反発を受けた。結果的に味を元に戻すことになった。 失敗の理由はいくつも考えられるが、要するに、消費者が本当に求めていたのは、飲み慣れていたコカ・コーラの味であって、より美味しくなったコカ・コーラではなかったということだ。 ニュー・コークと同じような失敗が最近日本でも起きている。森永乳業は2022年に「リプトンミルクティー」を終売にして、新たに「ロイヤルミルクティー」を発売した。旧ミルクティーの飲用者から反発を受け、同社のお客様相談室には、667件の復活を求める意見が寄せられたという。
これを受けて、森永乳業は、終売からわずか1年足らずで「旧発売」と称して、リプトンミルクティーを再発売した。 消費者の真の声を汲み取って、商品に活かすことは、思いのほか難しい。1人のインフルエンサーの声が、数多くの顧客の声を代弁しているとは限らない。 ほっかほっか亭のリュウジさん宛ての文章をちゃんと読めば、単純に「インフルエンサーに媚びている」というわけでもなく、しっかり検討したうえでの試みと理解できる。
ただ、「顧客が本当に求めている味は何なのか?」ということは常に意識しておかないと、過去の失敗例と同じ轍(てつ)を踏むことになりかねない。 「リプトンミルクティー」は、復活の際に、お客様相談室に寄せられた声を広告・宣伝に活用して、売り上げを急回復させることに成功している。失敗したら失敗したで、それをチャンスにする可能性も生まれるかもしれない。 ■話題に相乗りして成功した事例 今回のほっかほっか亭のように、偶発的に巻き起こった話題に相乗りした事例はいくつもある。