男子チーム挑戦で話題の永里優希が米女子プロに来季移籍…誤解生む報道でのSNS騒動に本人が抗議ツイートも
タイトルはその後に修正されたが、当該記事のコメント欄にはわずか1試合に出場しただけの腰かけ移籍だとして永里を誹謗中傷し、なかには人格までをも否定するコメントもあった。状況をみかねた兄でチームメイトの源気(@14genki)、はやぶさイレブンの公式ツイッター(@hayabusaeleven)が夜になって事実と異なっているとツイートを介して注意を喚起。永里本人もこんなつぶやきを投稿した。 「年内は、はやぶさイレブンでプレーしますけど?勝手に間違った情報を流さないで欲しいですし、その情報に対してもちゃんと調べてください。今週末の試合もメンバーに入ればベンチにも入ります」 日テレ・ベレーザで頭角を現した永里は、23歳だった2010年1月から海外に挑戦。ともにヨーロッパのポツダム、チェルシー、ヴォルフスブルク、フランクフルトをへて、2017年5月からアメリカに舞台を移した。昨シーズンまでの3年間でゴール数こそ13にとどまっているものの、18のアシストをマークするなど、レッドスターズでは周囲を生かすプレーを身につけている。 高倉麻子監督の就任後は招集から遠ざかっているなでしこジャパンでは、132試合に出場して58ゴールをマーク。女子ワールドカップで2011年に優勝、2015年には準優勝を経験し、2012年のロンドン五輪でも銀メダルを獲得した永里の濃密な経験に対して、レーシングはチームをゼロから構築していく上で、プレー面だけでなく精神面でも中心的な存在になってほしいと期待をかけている。 新型コロナウイルス禍の影響を受けた今年のNWSLは夏場の短期開催となり、現時点では休止を余儀なくされている。永里は9月に入って長年の夢と位置づけてきた、男子チームへの期限付き移籍を決意。元Jリーガーの源気が所属する、生まれ育った神奈川県厚木市を拠点とするはやぶさイレブンに加入し、今月18日の山王FC戦の後半40分すぎからデビュー。源気のゴールの起点にもなった。 サッカーの歴史上で例を見ないチャレンジには、国際サッカー連盟(FIFA)も注目。公式ウェブサイト上に掲載されたインタビューのなかで、永里は「男子チームでプレーしていることが、こんなに注目されるとは思ってもいませんでした」と偽らざる心境を語っている。 「女子サッカー選手や女性への、ポジティブなメッセージになっていれば嬉しい。男子と一緒にプレーすることは大変ですけど、他の女性でもできるんだ、ということを知ってもらえれば」
神奈川県サッカー協会の方針もあって、試合会場やキックオフ時間などの詳細は伏せられているものの、開幕3連勝で神奈川県社会人リーグ2部Dブロックの首位に立つはやぶさイレブンは、来月1日にフットワーククラブとの第4節に臨む。チームメイトとトレーニングに励む動画も続けてツイートした永里は、さらにコンディションを上げて、デビュー戦よりも長いプレー時間を目指していく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)