【闘病】「トリプルネガディブ乳がん」 後悔はあの時もっと詳しく検査しなかったこと
経験を伝えることで、誰かの命が救えることもある
編集部: 実際の治療はどのように進められましたか? みのりさん: 手術は少しでも不安が少ないほうがいいと思い、部分摘出ではなく全摘出を希望しました。放射線はおこなわず、乳房全摘出手術の後に抗がん剤治療という流れになりました。手術後の抗がん剤は、2種類を4クールずつ受けました。最初の1クール目だけはアレルギー反応や副作用などを確認するために入院でおこないましたが、後は通院で治療を受けました。私は50歳前の罹患でトリプルネガティブ 、そして私の母も乳がんでしたので「遺伝子検査の適応」とのことで、手術前に遺伝子検査も受けるか考えてくださいと言われました。検査について丁寧なカウンセリングも受けて、検査をすることを選びました。 編集部: 受診から手術、現在にいたるまで、何か印象的なエピソードなどあれば教えてください みのりさん: 抗がん剤治療に向け髪を短くしようと、美容師をしている友人にカットをお願いしました。カットをしながらこれまでの経緯を話していて、「どこも不調がなく元気なのに、検診を受けたことでがんが発覚した」と伝えたところ、知人もしばらく検診を受けていなかったようで、「私も不安になってきた。検診を受けよう」と言っていました。検診の結果は、乳がんステージ0の非浸潤がん。手術をして自家再建したようです。私の経験が、大切な友人の命を救えたかもしれないと思うと複雑ですが嬉しい気持ちになりました。 編集部: 病気の前後で変化したことを教えてください。 みのりさん: 病気になって以降は、幸せを実感することが多くなりました。例えば、洗濯物を干している時の洗剤の匂いだったり、お風呂から子どもの鼻歌が聞こえてきた時だったり、ふとした瞬間に「幸せだなぁ」と感じるようになりました。また、良いことばかりが起こるわけではなく、心が不安定になる時もあります。がんは適切な治療をしたとしても、その後も長い月日を「転移しているのではないか?」と心のどこかで感じながら過ごすことになります。私の場合、治療をしている時より治療後の方が孤独や不安を強く感じるようになりました。