お笑い芸人・まりんかが防災キャンプでローリングストック料理に挑戦!
災害の多い昨今、遊びの中で防災やSDGsを考える「SDGs防災キャンプ」が世界のトレンドに。そこで、清掃団が循環型防災料理に挑戦。必読です! 【写真14枚】災害のストレスを軽減する料理の鍵は「脱糖質+良質脂肪の摂取」。医学博士おすすめ食材を写真で見る
清掃団的! 防災キャンプスタイルとは?
・清掃団・団長 マシンガンズ・滝沢秀一さん 芸人活動の傍らゴミ収集員としても活動。プロの目でゴミ問題を発信し続け人気に。環境省のSDGs関連の広報大使に就任。著書に『ゴミ清掃員の日常』など多数。 ・清掃団・自給自足部 まりんか サーカスで数年ピエロをやっていた経験を活かし大道芸ネタで人気に。登山やキャンプ、アウトドア料理好きで、自給自足暮らしを目指すピン芸人。 ◆キャンプを通して防災用品を使いこなす ここ数年続く異常気象。災害が身近に迫ってきていることを誰もが感じているはず。そこで今回のテーマは、防災。今、世界のトレンドである「SDGs防災」を学んでいきたい。 今まで〝防災〟といえば、備蓄食料や防災用品を買っておくなど、主に「備える」という考え方が一般的だった。ところが、実際に地震や台風などで被災した人たちの中で、「いざというときに防災用品を使いこなせなかった」という意見が多数見られたのだ。 理由は、「携帯用トイレやテントなど、防災用品の組み立て方や使い方がわからなかった」「防災用品をすぐに取り出せなかった」「備蓄品の水や缶詰などの消費期限が切れていた」「バッテリーの蓄電が足りなかった」。 そこで防災の「備える」という概念から、日常的に使う「フェーズフリー」に変え、永久持続的循環型社会SDGsの中に取り込もうという動きが、学校教育現場を中心にはじまった。 フェーズフリーとは、日常(平常時)と非日常(災害時)のふたつのフェーズ(時期、状態)の垣根を取り払い、フリーにするという取り組み。災害時だけ取り出して使う防災用品を、普段から愛着をもって利用し、使い方に馴れ、それを非常時にも役立てようという新しい概念だ。 そこで注目されているのが「キャンプ」である。定期的にキャンプをして防災用品を使いこなし慣れておく。さらに遊びの中で、とっつきにくい防災やSDGsについて気軽に考える「SDGs防災キャンプ」が世界の主流となりつつあるのだ。 「ならば、私の出番ね!」と、防災キャンプ体験に名乗りをあげたのが、清掃団一のキャンプ好き芸人、まりんか。挑戦するのはローリングストック料理だ。 ローリングストックとは、災害時に必要となる水や食料などを普段、少し多めにストック。使用期限が近いものから消費し買い足して期限管理していく備蓄循環法。料理のポイントは、 「災害のストレスを軽減してくれる栄養食材を使って、美味しく食べれること!」 そのお味は激ウマ、大成功! ◆ローリングストックで備蓄品を上手に活用 防災備蓄食品は、キャンプや日常の料理で定期的に使うことで、賞味期限をチェック。買い足して循環させる。 ◆超簡単! ローリングストック料理術 災害のストレスを軽減する料理の鍵は「脱糖質+良質脂肪の摂取」。良質脂肪を含む魚の缶詰や、腸内環境を整えるフリーズドライ野菜など医学博士おすすめ食材で料理してみた。 ・保存用豆腐とクルミのドライカレー 保存用木綿豆腐を水切りし弱火で乾煎り。鍋に乾煎りした豆腐と細かく刻んだクルミを入れ、カレールーと合わせて煮込み、湯煎したドライ野菜を添えれば完成。 ・クルミ オメガ3脂肪酸を豊富に含み、気分や睡眠に影響を与えるセロトニンとドーパミンを活性化。ストレス改善食として注目されている。 ・保存用豆腐 豆腐などの大豆食品には、必須アミノ酸のトリプトファンが豊富に含まれている。災害時には常温で保存できる豆腐が役立つ。 ・イワシのトマト煮 イワシの缶詰とトマトの缶詰を鍋に入れて煮込み、塩こしょうで味を調える。超簡単なストレス改善食。※ガスが使えない場合はそのまま混ぜて食べても美味しい。 ・イワシ イワシ、サンマ、サバなどの青魚は良質脂肪酸を含み脳のエネルギー源に。ビタミンなどの栄養もバランス良く摂取できる。 ・高野豆腐サラダ 高野豆腐を水でもどして絞り、適当な大きさに切り、ドライ野菜スープで煮込む。最後にカツオスライスをまぶせばでき上がり。好みでごま油、豆板醤などをかけても旨い! ・高野豆腐 良質な植物性タンパク質や脂質、ビタミンなどの栄養が凝縮された食品。ストレスを軽減するトリプトファン含有量も多い。 ◆医学博士がすすめる防災食とは ・医学博士 佐藤拓己さん 1961年生まれ。東京工科大学・応用生物学部・教授。アンチエイジングフード、神経科学などが専門。著書に『脳エネルギー革命』など。 脳神経細胞の研究に携わる佐藤拓己さんは「食事がストレス軽減の鍵になる」と研究を続けている。災害食については「体内に『セロトニン』という物質を増やす食事を摂るよう心がけると良い」という。セロトニンは、脳内で働く神経伝達物質のひとつ。睡眠、体温調節、食欲、骨密度、感情や気分のコントロール、精神の安定などに深く関わっている。 また、災害時に避けたほうがいいのが、おにぎり、パン、麺など糖質の多い食品の単品摂取。フリーズドライの野菜などを加える工夫を心がけることが重要だという。 災害時に必要な食品例は、(1)セロトニンの原料であるトリプトファンという物質を多く含む「魚」「肉」「卵」「ナッツ類」「バナナ」など。(2)セロトニンの合成に必要な腸内環境を整える「発酵食品」「海藻」「野菜」。(3)良質な脂肪をもつ「魚の脂」「バター」「クルミ」「オリーブオイル」などを摂ると良い。 災害時に摂りたい食事例。保存用瓶詰のシャケと、フリーズドライ野菜入りのおにぎり。セロトニンの合成に必要な栄養素を多く含むバナナ、茹で卵、卵と野菜のスープ(味噌汁)。 コーヒーにバターを入れる「バターコーヒー」も脳を活性化させるストレス軽減食。 ※構成/松浦裕子 写真/茶山 浩 協力/鶴田佳葉子 (BE-PAL 2024年11月号より)
BE-PAL.NET