満場一致も…実は紆余曲折だった今年の「正力賞」 CSのアドバンテージ巡り提言も
今年のプロ野球の発展に最も貢献した監督や選手に贈られる「正力松太郎賞」(正力賞)の選考委員会が東京都内で開かれ、DeNAを26年ぶり3度目の日本一に導いた三浦大輔監督(50)が初めて受賞した。結果的には満場一致での選出となったが、選考委では「ペナントレースの結果を重視すべきでは」といった意見も出るなど、紆余(うよ)曲折を経ての選出だったという。出席した一部の委員からは、現行のクライマックスシリーズ(CS)のアドバンテージ制度について見直しの提言も出るなど、伝統ある正力賞のあり方を巡って活発な意見が交わされたようだ。 ■「ペナントを重視すべきだ」の声も 1977年に創設された正力賞は、その年のプロ野球の発展に寄与した人物が選出されるが、2018年以降は日本一に導いた監督が受賞している。選考委員は王貞治氏(ソフトバンク球団会長)、山本浩二氏(元広島監督)、高田繁氏(元ヤクルト監督)、辻発彦氏(元西武監督)、門田隆将氏(作家)の5氏。7日に行われた選考委終了後に行われた記者会見には王、門田の両氏が出席した。 「下剋上を成し遂げた三浦監督の手腕は評価に値する」。会見の冒頭、今年の正力賞を受賞した三浦監督を評価した王氏に対し、「今年(の選考)はすんなりといくのではなく、ペナントレースを重視すべきじゃないかという意見がかなり出た」と選考過程の舞台裏を明かしたのが、門田氏だった。 今季からソフトバンクの指揮を執った小久保裕紀監督は、監督1年目ながら91勝49敗3分けと今季のパ・リーグを圧倒的な成績で制した。 「(選考委では)1年目で強いチームを作り上げた小久保監督のすごさを王さんもおっしゃられていた」(門田氏)とし、辻氏も小久保氏の手腕を評価したという。一方で門田氏は「私は(巨人の)阿部慎之助監督のすごさを指摘したが、(仮に正力賞が)小久保さんということになると、では阿部さんはどうなのか、となる。これは日本一(を達成した監督)でやはり行くべきではないかと(選考委で)言わせてもらった」と振り返った。 ■5ゲーム差以上には「2勝」