【クラシック オブ ザ デイ】メルセデス Gクラス「ゲレンデヴァーゲン」の伝説は45年前に始まった
個人的なことを白状すれば、実は(これほどまでに難癖付けながら持っていたと告するのも恥ずかしいが)、G350dの中古車に3年ほど乗っていたことがあるのだが、正直言うと運転しにくく、とうぜん燃費も悪く、どうして世の中の人はこれに喜んでやせ我慢しながら乗っているのだろう、と乗るたびに思ったことも事実だが、ボディのつくりと周囲を睥睨するような感覚は、「まごうかたなきメルセデス・ベンツ」で、この部分に人は魅力を感じているのかもしれないな、とも理解した。
先日発表されたBEVのG580 with EQテクノロジー(名前はなんとかならなかったのか)の車重は3トンを超えているし、街中で見かけることがごく普通になっている現行モデルのG63でさえ2.5トンを超える車重である。これは79年デビュー当時の1,775㎏~という車重に比べると驚くほど重い。 内装は豪華な皮内装がもはやデフォルトで、布の内装はその名もプロフェッショナル(通称Gプロ)という、装備が少ないくせに普通のモデルよりもずっと高価な、偏愛趣味人向けモデルでないと選べない。 そしてそのスタイリングと言えば・・・。45年前のジュネーブショー会場で、ランドローバーのデザイナーが「醜悪なのが救い」と発言した、あのオリジナルに年々厚化粧を加えたもの、つまり見方によっては「より醜悪な」ものだ。だからどうして「ゲレンデヴァーゲンの醜悪さが45年もわたって、加速しながら愛されてきたのか誰にも正確には答えられない。だがきっとゲレンデヴァーゲンはこの醜悪さを保ったまま、最後の最後まで作られることは間違いのない事実である。ゲレンデヴァーゲンの一番の魅力は、この誰にも似ていないスタイルがあってこそなのだから。
Stefan Grundhoff