【クラシック オブ ザ デイ】メルセデス Gクラス「ゲレンデヴァーゲン」の伝説は45年前に始まった
やがて、日本には5ナンバーで乗ることのできる300GDが正規輸入されたが、ものすごく高価なのに無骨で質素で、しかも呆れるほどアンダーパワーだったこともあり、ほぼ街で見かけることはなく、東京の街で見かけた時には小躍りしたほど嬉しかった。 その後、ガソリンエンジンモデルの230GEが輸入され、わずかながら280GEなども入ってきた時、幸運にも1週間ほど280GEと過ごす機会があり、生まれてはじめてゲレンデヴァーゲンという自動車に乗ることができた。その感想は重くて、ごつくて、アクセルがひたすら重い自動車、という印象で、少なくとも街中と高速道だけを走っている間には良いところなど見つけることのできない「硬派のオフロードヴィークル」に感じられた。
ゲレンデヴァーゲンが急速に市民権を経て知られるようになったのは、その後、パートタイム4WDではなく、W463とよばれるフルタイム4WDになってからのことで、300GEという内装がW124風で本革シートさえつくようになったモデルからで、街で見かけることが多くなったように思う。個人的にはあか抜けないチェック柄のシート生地に、シフトレバー周りがむき出しになっているようなゲレンデヴァーゲンが本物だと思っていたため、ウッドパネルと本革シートの内装には違和感があったが、ライバル(かどうかはちょっと今でも怪しいが)と言われるレンジローバーにもヴォーグとかカウンティという厚化粧内装が標準装備になって人気を博していたから、ゲレンデヴァーゲンもそうならざるを得なかったといえる。 その後のゲレンデヴァーゲンは無理に高性能エンジンを詰め込まれ、内外装ともに厚化粧化の一途をたどり、新しいモデルが出るたびに違和感を覚えたし、AMGモデルが出た時にはその存在のアンバランスさに眩暈さえ感じたが、今や街で見かけるゲレンデヴァーゲンのほとんどすべてがAMGなのだから驚くというか呆れるというか……。とにかく今の街を行く、一度も悪路(ゲレンデ)を走ったことのないゲレンデヴァーゲンの大多数は、AMGバッチがつき、極太のタイヤを履いたスタイルが定番となっている。