【クラシック オブ ザ デイ】メルセデス Gクラス「ゲレンデヴァーゲン」の伝説は45年前に始まった
2018年、W463モデルシリーズのメルセデスGクラスは、同じくGクラスとモデルシリーズ呼称463を冠する後継モデルW463Aに置き換えられた(さすがにメルセデス・ベンツもW463のままでは紛らわしいと思ったのか、W465と呼ばれることとなった。中間のW464は他の車種に使用してしまったため、一つ飛びになっているそうだ)。 ぱっと見はさほど変わって見えないのだが、素朴なドアハンドルを除けば、すべてが新開発だ。最大の違いは全幅の拡大で、約12センチ拡大した。全長は4.82メートル、ホイールベースは2.89メートルで、全長はさらに5センチ伸びている。
私とゲレンデヴァーゲン
大林晃平: 1979年3月1日、ジュネーブショーのプレスデイの日にメルセデス・ベンツ ブースでデビューしたゲレンデヴァーゲンを多くのジャーナリストやエンジニアが取り囲んでいたが、「もちろん」ランドローバーの技術者たちが多くおしかけ、詳細にゲレンデヴァーゲンをチェックしていたと当時CG編集長だった故小林彰太郎は記している(1979年CG5月号P43)。もちろんその中にはスペンキングもいたが、ランドローバーのスタイリスト(デザイナー)のディヴィッ ペイシユは、小林氏に「デザインが醜悪なのが唯一の救いだよ」と本音を漏らしたという。ゲレンデヴァーゲンはそれほどまでにランドローバーのスタッフを興味津々(あるいは戦々恐々)とさせる存在であったと言えるが、その醜悪な自動車が45年経過した現在、世界中のセレブリティや、成金などのあこがれの自動車になろうとは彼らは想像もつかなかっただろう。
そういう僕もその79年のカーグラフィックでゲレンデヴァーゲンを見た時には正直無骨で格好いいスタイルとは思わなかったし、これほどまでに世の中に知られることになろうとは微塵にも思わなかった。でも機能的なスタイルや、殺風景と言っても良い内装などは、「これこそが実用車としてのメルセデス・ベンツの王道」であるとも思ったし、ゲレンデヴァーゲンとW123 300TDのどちらかをもらえるとしたらどっちをもらおうか、という無駄な夢想をしながら記事を舐めるように読んだ。