【クラシック オブ ザ デイ】メルセデス Gクラス「ゲレンデヴァーゲン」の伝説は45年前に始まった
一方、世界を股にかけて活躍するグンター ホルトルフは、メルセデスGクラスと独自の経験を積んできた。1988年、ブルーのGD 300に「オットー」の名を冠したこの車は、長い年月を経て色あせ、世界中を旅した後、80万km以上を走破して「メルセデスミュージアム」に収蔵された。本当のゲレンデヴァーゲンの正しい使い方はこういうの。港区だけをはいずりまわらされているゲレンデヴァーゲンはやっぱり不憫である。
1985年のパリ・ダカールラリーをはじめ、Gクラスはその長いモータースポーツ人生の中で、数え切れないほどのタイトルやチャンピオンを獲得してきた。その1年前には、優勝したポルシェチームのサポートカーとして2位を獲得している。ボンネットの下にはポルシェ928の高性能エンジンが搭載されていた。パリダカールにももちろん出場していたが、その中身は言うまでもなく市販車とは別物と言って良い。
エクストラロバストのベンツは、常に軍で「成功」し続けている。ドイツ連邦軍だけでなく、数十年にわたり「ウルフ」の名でGクラスを保有してきた軍隊もある。NATOに正式採用されていたこともあるが、その場合シートは黒白のチェック柄だったと聞く。
こういう姿で使われているよりは、泥一つない姿で紀伊国屋や玉川高島屋の買い物車として使われている方がまだ良い、とは思う。
この重装甲車は世界各地の危機的地域でも活躍しており、Gクラスは警察でも使用されている。本来ゲレンデヴァーゲンはこういうプロフェッショナルな使われ方でこそ本領発揮。この手の特殊仕様のミニカーも実に多い。
メルセデスGクラスの生産が開始された秋には、オーストラリア陸軍のために3軸モデルが開発された。これらのモデルから派生した壮大なメルセデスAMG G 6×6が開発され、一夜にして首長のお気に入りのプレイモービルとなった。メルセデスG 63 AMG 6×6が544馬力と760Nmのパワーで砂丘の頂上を駆け上がると、実績のあるオフロード愛好家でさえ息をのむ。