民事再生法とは? 破産騒動の「船井電機」も適用めざす、再建方法をわかりやすく解説
民事再生法適用の申請条件
民事再生法は、以下のいずれかの条件を満たしている場合に申請が可能となる。 ・債務者に、破産手続き開始の原因となる事実(=支払い能力が継続的に欠けている状態)の生ずる恐れがあるとき 債務者が弁済期にある債務を弁済する能力はあるが、事業の継続に著しい支障を来すとき つまり、支払い能力がない状態や手形の不渡りといった破産原因がなくても申し立てを行うことができる。また、破産する恐れがある場合は、実際に破産に至っていなくても再生を目指せる。 たとえば債務の返済のために、事業で使用している設備や不動産などを処分すれば事業の継続は困難になる。このように返済自体はできるものの、それによって事業継続が困難になるケースでも、民事再生の申し立てが可能だ。 ただし、裁判所に支払う費用である予納金の支払いがないときや、「すでに進行している破産手続きや特別清算による方法のほうが債権者にとって適切」と裁判所で判断されたときは、申し立てが棄却される。
民事再生法に基づく3種類の再建手続き
ここからは、民事再生法に基づく再建手続きの手法を紹介しよう。再建手続きの手法は、以下のように3種類存在する。
■自力再建型 「自力再建型」は、その名の通り外部の力を借りることなく自社の企業努力のみで債務を返済し、再建を目指す方法だ。ただし、継続して安定した利益を出し続けていることが求められるため、すべての企業が選択できる手法ではないことを知っておこう。 ■スポンサー型 「スポンサー型」は自力再建型の対になる手法であり、金融機関やほかの企業、ファンドなどがスポンサーとなり貸し付け・出資を行う。民事再生の申し立て後にスポンサーを選定する場合、公平性を担保するために入札で選定するのが一般的だ。 一方、あらかじめスポンサーを決めておき、申し立てと同時にスポンサーによる支援を公表する「プレパッケージ型」という種類もある。プレパッケージ型のメリットは、スポンサー企業の信用性の高さによって、申し立てを行った企業の社会的信用の低下を最小限に抑えられることだろう。しかし、スポンサー選定の経緯や資金額によっては、公平性に欠くことを理由として裁判所から認可されない場合もある。 ■精算型 「清算型」は、申し立て企業が営む事業のみを別の企業に移し、申し立て会社を清算する手法を指す。 そもそも倒産手続きには「清算型」と「再建型」があり、本来、民事再生は再建型に該当する。そのため混乱しやすい。このケースは、企業本体を清算し、価値があると認められる事業のみを再建する「清算型の民事再生」と理解すると良いだろう。