民事再生法とは? 破産騒動の「船井電機」も適用めざす、再建方法をわかりやすく解説
民事再生法と会社更生法・破産・特別清算・私的整理の違い
ここからは、民事再生法と同様に倒産手続きの1種である「会社更生法」「破産・特別清算」「私的整理」との違いを確認したい。 民事再生法とその他の法律を分類 ■会社更生法との違い 会社更生法と民事再生法は、ともに「再建型」の倒産手続きだが、主にその対象が異なる。民事再生法は、個人から大企業まで幅広く利用される。それに対し、会社更生法は株式会社のみが対象だ。会社更生法は大企業が利用することを想定しており、効力や関係者に与える影響が大きい。そのため、中小企業が会社の再建を目指す場合には、民事再生が選ばれやすい。 また、手続きを誰が主導で行うかという点についても違いがある。現経営陣が手続きを進める民事再生と異なり、会社更生は裁判所が選任する更生管財人の主導で進められる点が特徴だ。 ■破産・特別清算との違い 民事再生が「再建型」の倒産手続きである一方、破産や特別精算は「清算型」の手続きである点が両者の主な違いと言える。 破産や特別清算は原則として、債務者が事業を停止し、破産管財人の下で保有する資産を解体・清算する「清算型」の手続きだ。それに対して民事再生法は、事業を維持・継続しながら、事業の再生を図る。 ■私的整理との違い 民事再生と私的整理の違いは、裁判所の関与の有無にある。民事再生は裁判所を利用する法的整理に該当するが、私的整理には裁判所が関与しない。 私的整理は会社の再建を図る方法で、債権者と直接交渉を行い、債権額や支払期日を調整する。法的整理に比べて柔軟な解決を図れる点がメリットだが、債権者と交渉できる法的な強制力を持たない。
民事再生法の4つのメリット
民事再生法の適用申請を行うメリットは、以下の通りである。 ■経営権を維持できる 現経営陣が退陣を迫られない民事再生では、経営権を維持できる。ただし、株主や債権者などの理解を得られないと、民事再生案が求めることができない可能性がある。そのため、事前に利害関係者への説明を行い、納得してもらえるような再生計画案を作成しなければならない。 ■社員の雇用は維持される 企業の存続を前提とする手続きであるため、社員の雇用が維持される点も、民事再生の利点といえる。特に社員の技術やスキルが重視される経営モデルの場合、計画通りの再建を果たすためにも、社員に対して退職しないようにお願いをしなければならない可能性がある。 ■債務が免除される 再生計画が認められれば、大幅な債務免除を受けられる点も利点だ。さらに、弁済期間も延長が認められ、再生計画案における弁済期間は最長で10年とされる。 債権者は金融機関であることが多く、金融機関に対して説得力のある再生計画を作成できれば、再建の道筋が開けるだろう。 ■再生に要する期間が比較的短い 民事再生のメリットとして、再生に要する期間が比較的短い点も挙げられる。たとえば、会社更生の手続きについては、裁判所から再生計画の認可を得るのに年単位の期間を要することが多い。しかし、民事再生に要する期間は半年程度で済む。