自然共生サイトは企業や団体によって生物多様性が守られている区域に国がお墨付きを与える制度。認定を受けることで、イメージアップや投資家からお金を集めやすくなるなどのメリットが期待できる。

　みんなの森は適正な間伐林として維持しつつ、憩いや環境教育、J―クレジット創出の場として活用している点などが評価された。

　同社とLINEヤフーは生物多様性の保全に向けた取り組みについても協働しており、9月19日には両社の社員ら約40人が、みんなの森でコナラやエノキなどの苗木約100本を植樹した。スマートフォンで撮影した動植物の種名を人工知能（AI）が瞬時に判定する無料アプリ「バイオーム」を使った生物調査も初めて行い、40分ほどで約160種を確認できたという。

　田島山業が新たな収益源を模索する背景には、従来の木材生産だけでは収益の確保がままならない林業経営の現実がある。森林所有者の収入の目安となる杉の立木価格（全国）は1980年の1立方メートルあたり2万2707円をピークに減少し、2023年はやや盛り返したものの4361円にとどまった。

　田島取締役は「『断固、森を守る』という信念のもと、収益を新たな森林整備や（伐採後の）再造林などに充て、より豊かな森づくりを実現したい」と話している。

自然共生サイト、大分県内計6か所に

　環境省は、「自然共生サイト」に大分市の「うーたの里山（大分市まちなかのビオトープ）」（2・1ヘクタール）など大分県内の4か所を含む69か所を追加認定したと発表した。

　県内では昨年、「田島山業×みんなの森プロジェクト」（日田市）と「九州電力社有林」（竹田市、401・34ヘクタール）が認定を受けており、計6か所になった。他に追加認定を受けた区域は次の通り。

　「大分キヤノン大分事業所～キヤノンの森～」（大分市、17・0595ヘクタール）▽「尾無の湿地」（中津市、0・064ヘクタール）▽「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング大分テクノロジーセンター国東サテライト」（国東市、2・36ヘクタール）