新型フリードの「価格」「装備」「燃費」をライバル・シエンタと比較する
つまり、フリードは3列目の足元空間の広さ、シエンタは自然な着座姿勢に、それぞれ分があるということ。 また、3列目シートの格納方法も異なる。フリードは左右に跳ね上げる方式で、格納してもシートが荷室に張り出すが、シエンタの3列目は、2列目の下にスッキリと格納されて荷室に露出しない。 その代わりシエンタは、3列目シートを格納するきとに2列目シートを持ち上げる必要があるから、操作が面倒だ。 この違いを踏まえると、頻繁に3列目を操作するならフリード、通常は3列目を格納して荷室として使い、まれに多人数で乗車するならシエンタがふさわしいといえる。
フリードとシエンタの燃費も比較しよう。フリード エアーEX 6人乗りでは、前述のようにガソリン車が16.4km/L、ハイブリッド車は25.4km/L。シエンタでは、売れ筋グレードとなるの「Z 7人乗り」でそれぞれ18.3km/L、28.2km/Lだ。WLTCモード燃費は、シエンタが全般的に優れている。 フリードのエアーEX 6人乗り ガソリン車(269万7200円)に相当するシエンタは、「Z 7人乗り」で268万6600円だ。
フリードと違ってシエンタにアルミホイールは付かないが、ハイビーム使用時でも対向車の幻惑を抑えるアダプティブハイビーム、ドライバー異常時対応システム、10.5インチサイズのディスプレイオーディオなどが標準装着され、装備の充実度ではフリードを上まわる。 ただし、フリードには、2列目シートがベンチシートに加えて人気の高いセパレートシート(キャプテンシート)も用意され、内装自体の質感も高い。シエンタの2列目シートは、ベンチシートのみになる。また、SUV風の外観が選べるのは、フリードだけだ。
■N-BOXというライバルもいる これらの付加価値の捉え方により、フリードとシエンタの選択は決まる。小さくてもミニバンであることを大切にするならフリード、ボディサイズを含めてコンパクトカーに近い馴染みやすさや、充実装備で選ぶならシエンタだ。 それでも前述の通り、フリードの価格の高さは否めない。シエンタも2024年5月の改良で値上げされたが、新型になってフリードは一層高くなった。 そこで改めて国内で販売されるホンダ車を見ると、全体の40%近くが軽自動車の「N-BOX」で占められている。N-BOXの中心価格帯は160万~200万円で、4人乗りとなるが室内は十分に広い。
N-BOXを始めとする軽自動車の高い人気は、価格が上昇した小型/普通車に対する不満の裏返しなのかもしれない。 【写真】新型フリードとシエンタの内外装を見比べる
渡辺 陽一郎 :カーライフ・ジャーナリスト