クマ被害相次ぐもハンターは減少 AI・ロボで対策に取り組む自治体は…【WBSクロス】
「WBSクロス」今回のテーマは、全国で被害が相次ぐ「クマ」です。人への警戒心が薄れ、街に下りてくるクマが増える中、テクノロジーで対策を打つ動きを取材しました。 札幌から車でおよそ1時間半、北海道・砂川市。1万5000人ほどが暮らすこの町を悩ませている問題があります。 ある民家に市の職員がやってきました。取り出したのは1枚の紙。道路を横切るヒグマの姿が映っていました。市の職員の相談相手は「北海道猟友会」砂川支部の池上治男支部長。40年近くヒグマハンターとして活動しています。 砂川市では5月以降、冬眠明けのヒグマが相次いで出没。既に17件の目撃情報が寄せられています。池上さんは状況を把握するため、急いで写真の現場へ向かいます。 「(ヒグマは)水を飲みに来るシカを襲うとか、そういう行動をしている」(池上さん) 池上さんは車から降りるときに大声を出します。クマは臆病なため、大声を出せば不用意に近づいてきません。周囲の鳥の動きなどで当たりをつけ、草むらに入るとシカの死骸がありました。 「やっぱりクマ来ているな。その後ろ足、全部食べられている。ヒグマが食べた」(池上さん) 少し離れた場所でも手足だけになったシカの死骸がありました。 次の日、再び取材班が同じ現場を見に行くとシカの死骸はなくなっていました。クマが持ち去ったようで、フンだけが残されていました。
ハンターは最盛期から半減
鳥獣による農作物の被害は全国で156億円。ここ数年は横ばいが続いていますが、クマの人身被害を見ると、昨年度は過去最多の198件。東京都内でも昨年度211件の目撃情報がありました。 一方、そのクマを仕留めるハンターの数は最盛期から半減し、現在およそ22万人。多くが60代以上で、後継者不足も深刻です。 砂川市の隣町である奈井江町では人手不足や報酬の低さなどを理由に、地元の猟友会がヒグマの駆除を断るという事態にまで発展しました。 「若い人に誰でもハンターになれと言えない。(ハンターは)簡単にできない」(池上さん)