『あらしのよるに』の作者きむらゆういちが、『からっぽのにくまん』のまつながもえとコンビを組んだ絵本『ふしぎなみけねこびん』の創作秘話
絵本『ふしぎなみけねこびん』が2024年4月に世界文化社から刊行いたしました。 この絵本は、絵本作家として数々の著書を刊行されているきむらゆういちさんに文を書いていただき、きむらゆういちさんが顧問をつとめる、ゆうゆう絵本講座ご出身で、絵本作家としてご活躍のまつながもえさんに絵を描いていただきました。 絵本講座でご縁のあるお二人に、この絵本を創作、刊行するまでのお話をおききしました。 ──『ふしぎなみけねこびん』は、編集部からお祝いの日に贈る絵本のアイデアが何かないですかと、きむらゆういちさんにご相談をしたところから始まりました。お誕生日に宅配便が届くというお話の構想のきっかけをおうかがいできますか? ●きむらゆういち氏(以下、きむら) 絵本の設定として、誕生日プレゼントをもらう相手を決めて書いてしまうと、読者自身とは齟齬が出てきてします。例えば「お姉ちゃんより」と書いてあると「うちにはお姉ちゃんなんていないよ」となる。それで、誰でもあてはまるようなものがいいと思い、宅配便で謎のものが届くという設定がいいかなぁと考えました。 宅配便っていうのは、けっこう動物の名前がつくものが多いでしょ。 ●まつながもえ氏(以下、まつなが) あ~。(同意) ●きむら だから「みけねこびん」もありかなって。家にいる猫に「おまえもなんかくれない?」っていうのをきっかけに始まっていく流れをつくりました。
──最初におはなしのアイデアをいただいたときは、猫と決まっていなくて、「猫にしようか? たぬきにしようか?」という話をしましたね。 ●きむら 不思議な宅配便が届くのだから、はじめはたぬきと考えた。けど、たぬきより猫のほうがいいと編集部からありまして。このお話では「みけねこびん」に決定しました。猫は身近な存在ですからね。 ──『ふしぎなみけねこびん』では、きむらゆういちさんの文に、まつながもえさんに絵をお願いできればと、編集部からまつながさんへお声がけさせていただきました。まつながさんはきむらさんと初めてお仕事をご一緒にされることになりましたが、原稿を読んで思われたこと、ご一緒に仕事なさることについての思いをおうかがいしたいと思います。 ●まつなが 私は今まで絵と文、両方自分で書く絵本を作っていたので、絵だけ描く仕事は初めてでした。それがさらに、きむら先生の文章ということで、初チャレンジの初チャレンジでした。 ●きむら いつも作・絵なんだね。 ●まつなが そうなんです。文章をかいている人のアタマのなかを見ることはできないから、最初はきむら先生がどういうことを思ってこの文章をかいたんだろうと考えて、絵を創造するようにしていたのですが、そうすると、どうしてもきむら先生の描かれる絵が頭の中に浮かんでしまって……。なかなか画面を思い描けなかったので、いったんそれは置いておいて、自分の想像で絵をかこう、と割り切ったらスイスイ絵が描けるようになりました。