『あらしのよるに』の作者きむらゆういちが、『からっぽのにくまん』のまつながもえとコンビを組んだ絵本『ふしぎなみけねこびん』の創作秘話
──まつながさんは、きむら先生の「ゆうゆう絵本講座」に通われていたのですよね? ●まつなが はい。でも、私はきむら先生からは直接指導を受けていなくて、夜、みんなでごはんを食べているときに、先生がいらっしゃってお会いしたりとかしていました。 ──きむら先生はまつながさんのことを講座生としてご存じでしたか? ●きむら はい。知っていましたよ。『はにわくん』(絵本塾出版)、『からっぽのにくまん』(白泉社)とか、描いているよね。『からっぽのにくまん』は、賞をとったんだよね。 ●まつなが はい。『はにわくん』は、絵本コンペから出版までいたった作品です。どちらも「ゆうゆう絵本講座」で他の先生方から見ていただいていました。絵本講座に通っていたおかげです。 ●きむら 今回は、今までの作品よりすごく絵が細かいよね。大変だったかなって思うけどどう? ●まつなが 今回はお誕生日の絵本ということだったので、何度も読んでもらえる絵本になるといいなと思って細かく描きこみました。お誕生日の絵本は、自分自身もそうだったけど、何回も読み返す絵本になると思います。だから探し絵みたいに、読むたびに何かに気づいてもらえるような絵本になったらと、描き込んでいきました。 ●きむら 最初に「うみのいきもの」の絵本が出てくるけど(主人公が手に持っている絵)これは意味があるの? ●まつなが これは最後に主人公が海にいくシーンで、主人公はもともと海の生き物に興味がある子どもでという設定にしたかったからです。 ──絵本の表紙のジンベエザメがジェットコースターのジンベエザメになっていますよね。 ●まつなが そうです。こうだったらいいなを描くのがすごく楽しかったです。 ──今回のお話は、色々な国に主人公が行きますが、いろいろな場所にいくところに夢がありますよね。 ●きむら 誕生日のプレゼントを物にしてしまうとそれで終わってしまう。だけど、子どもの好きな世界に行けるということをプレゼントにすると、ジェットコースターでいろいろなところへ行けちゃうし、現実の世界を飛び出し、体験をプレゼントできる。誰が読んでも楽しめるというのをストーリーにするのが一番大変なところ。だから、宅配便がくるというオールマイティーなところをストーリーのはじめに組み込みたかったんです。 ──まつながさんは普段、車を描くことがないとうかがいましたが、絵の難しかったところとかありますか? ●まつなが 難しかったです。子どものころ、車のおもちゃで遊んだりとか、ゲームで遊んだりということもあまりせず……。犬は飼っていたのですが、猫は飼ったことがなく……。あまり身近にいなかったのでまずはそれを知ることから始めました。車を好きな子にもちゃんと見てもらえる絵にしないとなというプレッシャーがありましたね。 ──だから車もかわいい感じになったんですね。ねこロボットというきむら先生のアイデアが、こんなにファンシーなねこロボットになってきたところは、まつながさんらしさですね。