新女王との直接対決で逃げ切り 桑木志帆「竹田麗央ちゃんに勝てたことに価値がある」
◇国内女子メジャー◇JLPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ 最終日(24日)◇宮崎CC(宮崎)◇6497yd(パー72)◇晴れ(観衆4306人) 【画像】「ツアー選手権リコーカップ」朝の練習場の風景 3打のリードを持って出た最終日、桑木志帆は1番でいきなりボギーを喫した。2番(パー5)で3mのパーパットを何とか決めても、右ラフからグリーンを外した3番で再びボギー。それでも、「3打差が心の余裕になって、ボギーが2つ来てもまだ大丈夫だと思いました」と振り返る。 流れを大きく変えた6番からの3連続バーディも、冷静さを失わなかったからこそだった。6番は低い松の木とバンカー越えになる右手前ピン。上に打つのがセーフティに見えて、キャリーでピンを越えると、ボールが傾斜で奥まで弾かれるリスクが一気に高まる。「(短い番手の)52度で打てる距離でしたし、(手前の)エッジキャリーで」。苦しい状況でも臆せず際どいエリアを攻め、カラーから7mを沈める最初のバーディにつなげた。 1個のバーディで前向きになり、思考もさえる。1Wを握った7番ティで素振りをした時に気付きがあった。「どっしり構えられていない」。つま先体重になりやすいクセがあり、足の裏全体で地面を踏んで重心を落とすイメージを心掛けた。「『どこに行ってもいいや』じゃないけど、信じて、思い切って振り切ることができました」。取り戻した好フィーリングが、サンデーバックナインを耐え抜く勇気になった。
竹田麗央と2日連続の最終組。今季8勝を挙げた年間女王の飛距離は、圧倒的だった。「同じフェードヒッターで左の木が気になるのに、その上を行くのが規格外。すごいなって」。目を丸くしながら、気持ちは引かない。2組前を回る小祝さくらのチャージも「プレッシャーは感じていました」という。それでも、「今週は最後まで手が震えることなく、自分を信じてやり切れました」と胸を張る。
初優勝の殻を破り、トップ10入りは昨季の「10」から「17」に増えた。調子が悪くても上位で戦えたことへの自信。持ち前の明るさもある。17番で木に当たったボールがフェアウェイに戻ったことを聞かれて屈託なく笑った。「右に行ったなって思ったけど、木に当たったのは知らなかった。フェアウェイにあったから『ラッキー♪』って。初優勝した資生堂も、木に当たって大丈夫だったことがあった。生まれた時から運はある方だと思います」
通算12アンダー、国内メジャー初制覇を初日から首位を守る完全優勝で飾った。「うれしいが一番。麗央ちゃんもそんなに調子が良くない中でしたけど、それでも勝てたことには価値があると思います」と言って、メルセデスランキング上位勢の米ツアー挑戦が見込まれる来季を見据える。「思った以上のシーズンだったけど、出来過ぎたっていう感じもない。来年は自分が(ツアーを)引っ張っていきたいと思いますけど、1年で調子がガラッと変わってしまうこともあり得る。今年の自分とは比較しないように、新しい1年と思って頑張りたい」。次の主役候補としての責任感もにじませた。(宮崎市/亀山泰宏)