「同居20年以上の夫婦」における離婚件数が急増中!? 40~50代が知っておきたい「熟年離婚のお金事情」とは? 熟年離婚の原因も解説
厚生労働省によると、2023年の離婚件数は約18万3800組で、前年より約4700組増加しています。そのうち、同居期間20年以上の割合は約22%を占め、その離婚件数は1985年と比較すると、約2倍となっています。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい? 長年連れ添った夫婦の熟年離婚は社会問題にもなりましたが、そもそもなぜ熟年離婚が増えているのでしょうか? 本記事では、熟年離婚が増えている理由、40代や50代が知っておきたい熟年離婚のお金事情について解説します。
熟年離婚の原因は何?
内閣府が実施した世論調査によると、未成年の子がいる夫婦の離婚に対する考え方として、「夫婦の一方でも離婚を望んでいるのであれば、離婚したほうがよい」と答えた人は22.7%でしたが、未成年の子がいない夫婦を想定した場合の質問には同様の回答をした人の割合は42.4%となっています。未成年の子がいない夫婦の離婚のハードルは大きく下がるようです。 また、株式会社東レ経営研究所が以前に実施した「女性の愛情曲線」の調査によると、子どもが生まれると妻から夫への愛情は大きく低下しますが、その後に徐々に回復していくグループと、低迷していくグループに二極化します。 出産直後から乳幼児期にかけて、「夫と2人で子育てした」と回答した妻たちの夫への愛情は回復し、「私1人で子育てした」と回答した妻たちの愛情は低迷するという相関関係があります。 性格が合わない、精神的な虐待を受けている、過去に不貞行為などがあったといった場合、子どもの自立により、離婚のハードルが低下することで、夫(妻)への愛情を感じない妻(夫)が離婚するケースが増えてきていると言われています。
厚生年金が半分に? 知っておきたい離婚時の年金分割
離婚時の年金分割とは、婚姻期間中の標準報酬(厚生年金保険料の算定の基礎となる標準報酬月額と標準賞与額)が多いほうから少ないほうに、その一部を分割する制度です。 婚姻期間中に国民年金第3号被保険者期間がある妻と離婚した場合、妻側からの請求により婚姻期間中(2008年4月1日以後に限る)の第3号被保険者期間における標準報酬を2分の1ずつ分割することになります(3号分割制度)。 また、夫婦ともに厚生年金加入期間がある場合は当事者の一方または双方からの請求により、婚姻期間中の標準報酬を当事者間で分割することができる制度(合意分割制度)もあります。 3号分割制度とは異なり、合意分割制度では当事者間の合意または裁判により按分割合を決めることができます。 離婚時の年金分割の請求期限は、原則、離婚などをした日の翌日から2年以内となっています。国民年金は離婚分割の対象外ですが、婚姻期間中の国民年金第3号被保険者期間が長いと、厚生年金が半分近くまで減少する可能性があります。