ミラノ拠点「セッチュウ」のサステナ定義は「もったいない」 欧州規制への冷静な対応も
WWD:桑田さんは慎重だけど、決断も早い。
桑田:それは自分の中で決めているルールのひとつ。いろいろなメゾンで経験を積む中で、デザイナーの決断が遅ければ遅いほど周りの人に負担がかかることを知ったから、決断は早くするようにしている。
WWD:環境配慮型素材には、リサイクルポリエステルやオーガニックコットン、技術革新による全く新しい素材などさまざまあるが、特にどこを意識して選んでいる?
桑田:第1に考えるのは品質。価格が同じで品質がそこまで変わらなければよりサステナブルな生地を選ぶようにしている。
欧州の法規制への対応
WWD:欧州、特にフランスを中心にサステナビリティ、循環に関する法規制が厳しくなっている。どのように対応しているか?
桑田:法規制の内容理解はデザインをしていく上で欠かせないので、動きがあるたびにチェックしている。工場との情報交換から得ることが多い。はっきりとした決まりがないケースもあるから「できる限りのことをする」スタンスだ。例えば、納品時に服を入れるパッケージングに関しては、リサイクルプラスチックを採用するのは当然で、加えてジップロックタイプにすることで店で再利用しやすいよう工夫しています。従来品より価格は上がるが、仕方ない。世の中が良くなっていくためには必要なことだと思う。
ただ、規制に全部従う必要があるかと言えば、それは疑問。正直、企業間や国家間のルールメイキングの覇権争い、利害関係に巻き込まれている感は否めない。例えばフランスでは製品に環境的な特性(*編集部注)を表示することが義務付けられているが、100%守られているかと言えばそうではなく、僕らブランド側としてははっきりしてほしい。クリアにしてゆくのは政府の役割でもある。明確でないと湾曲されたルールが生まれるといった困った状況もあるが、僕たちは環境を考えた上で規制以上にできることを行っている。ブランドの在り方、生き方として伝わるから。