ミラノ拠点「セッチュウ」のサステナ定義は「もったいない」 欧州規制への冷静な対応も
僕は「サステナブル」と聞くとすぐ興味を持つ。こだわればこだわるほどアイデアがわき、興味を持つ。だからお客様というより、より多くのデザイナーが関心を持つといいなと思う。求める人が多くなれば変わることも多いと思うから。
WWD:環境配慮型の素材を使うと価格が上がるのでは?一時期は、従来素材の1.3倍から1.5倍と言われていた。
桑田:5年前はそうだったが、生地屋さんも進化し、イタリアでは最近は「多少高い」くらい。「多少」であれば高くても使うようにしている。
WWD:日本では、環境配慮型にこだわると選択肢の幅が狭い、とデザイナーたちがなげいている。
桑田:ミラノウニカなどの生地見本市ではリサイクル繊維などが数多く見られる。ただ、再生することにより水を大量使用しているケースもあるから、認証素材だからといって鵜呑みにはできない。常に疑いの目を持っていないとダメだろう。 WWD:具体的に環境配慮型素材を使った例を教えてほしい。
桑田:冒頭の写真の“紙”デニムは、コットン78%、紙22%。沖縄のキュアラボさんと作ったオリジナル生地。
編集部注)キュアラボ=沖縄拠点の未利用資源を活用した素材開発、製造・販売を行う2021年創業のベンチャー企業。紙デニムの原料は、さとうきびの製糖時に発生する副産物であるバガス。これをキュアラボ独自の技術でパウダー状に加工し原材料とし、国内工場で用途に合わせた紙に加工。紙糸を緯糸に使用し、国内工場にて用途に合わせた様々な生地に加工している。
人類は紀元前からサトウキビを生産・消費してきたけど、その残渣はこれまで飼料用途以外の9割が廃棄されてきた。キュアラボはその課題解決に取り組み、北海道の会社と連携してサトウキビ残渣を原料にした和紙を製造している。そのスタンスに共感した。
WWD:デニムに和紙を入れることで製品としての魅力は?
桑田:このデニムは縦位置にコットンを、横糸に2ミリ程度の薄紙を撚糸した和紙糸を使っている。紙は繊維ではないので、バクテリアがつきにくく、クリーン。そして紙だから着ると驚くほど軽い。そして夏は涼しく、冬は暖かく、機能的だ。今はまだ開発中であり、当初は13~15オンスだったところを試行錯誤で糸を細くしてもらい、現状は16オンスの見た目で11オンス程度まで軽くなった。