阪神OB西田直斗さん 能登半島被災者と共に虎にエール
阪神OBの西田直斗さん(31)が1月の能登半島地震で被災した石川県内の子どもたち100人を京セラドーム大阪で行われた「阪神対ヤクルト17、18回戦」(20、21日)の2試合に招待した。 西田さんは被災地の少年少女に思いを馳(は)せ、自身が所属する大阪・八尾市の奉仕団体「大阪JOINUSライオンズクラブ」の企画として、ヤクルト戦への招待を発案。野球観戦のほかにも、自身が総合コーチを担う「四條畷リトルシニア」との合同練習という形で、阪神OBらとともに大阪府内で野球教室を開催。現役時代のユニホームに袖を通して技術指導を行うなど被災者と親交を深め、炊き出しも実施した。 「(ライオンズクラブで)被災した子どもたちに何かできないかと意見を出し合ったときに、お金だけ出すのではなく、野球に携わってきた者として何か目に見るみえる形で支援したかった…という思いが強くありました」 今春から夏にかけて具体的にアクションを起こし、同ライオンズクラブで200人規模のゴルフコンペを開催して寄付金を集めた。また、阪神の現役選手にも連絡を取って協力を依頼。現役を共にした梅野、そして、同級生の青柳、坂本ら十数人の選手が西田さんのこの思いに共感し、被災地の野球少年にサイン色紙などをプレゼント。「多くが阪神ファン」の子どもたちは歓喜したという。 大阪府内で開催した野球教室では西田さんがプレーを実演するなど技術指導も行った。また「夏休みの思い出になれば…」と、ライオンズクラブ以外の知人の協力も得てカレーの炊き出しを振る舞い、子どもたちを元気づけた。 「今回の企画はとても僕一人では開催は難しいことでしたし、皆さんのご協力あって成功できたと思っています。野球教室も、子どもたちはすごく喜んでくれて、逆にこちらも力をもらいました。京セラドームでの観戦も実現できて良かった…。僕は現役を離れて、外から阪神を見る側になりましたけど、球場でプレーしている現役の選手って、やっぱり、ものすごく格好良く見えるんです。石川の子どもたちの目にも選手達のことはそういうふうに映っていたと思いますし、あらためて野球の持つパワーを感じました。今プレーしている選手には、ケガなく、長く現役を続けてもらいたいと思っています」 被災した野球少年たちと一緒に優勝争いへ正念場の古巣に熱視線を送った西田さんはそんなふうに語った。 西田さんは大阪桐蔭高校から11年のドラフト3巡目で阪神に入団。18年に現役を引退後オーダーメードスーツの訪問販売店「Settedieci」(セッテディエーチ)を起業。「第二の人生」と期す事業に勤(いそ)しみながら積極的に野球振興にも携わってきた。現在は中学硬式野球「四條畷リトルシニア(前身は寝屋川中央リトルシニア)」の総合コーチとして、週末は教え子の指導に心血を注いでいる。 (デイリースポーツ・吉田 風)