コメ兵、不正注文検知サービス「O-PLUX」導入 4カ月で不正利用は1件のみ
コメ兵ホールディングス傘下で、リユース大手のコメ兵は1947年創業の歴史を持ち、主に中古ブランド品の宝石・貴金属、時計、バッグ、衣料品(一部カメラ・楽器も扱う)の買い取りと販売を手掛ける。すべて直営で、東京・名古屋・大阪を中心に25店舗と、買い取り専門店126店舗を展開している。 「リレーユースを思想から文化にする」というビジョンを掲げ、多くの人にとってリユースが身近に取り組める環境を作り、循環型社会の実現を目指している。 買い取った時よりもきれいな状態にして販売することを心掛けている。宝飾品の場合、使用に伴う傷が付いているケースがあるが、買い取った後に「磨き処理」を施すことで、よりきれいな状態で販売している。 買い取り方法は、店舗で受け付けているほか、宅配便での送付や、一部エリアではスタッフが自宅に訪問して買い取る「出張買取」を手掛ける。百貨店やショッピングモールに催事として出店する買い取りイベントも実施している。 EC事業は2000年頃から宝飾品をネット販売する形で開始。2010年には、店舗と同様のラグジュアリーブランドの中古品を扱うECサイトに刷新し、現在8万点の商品を販売している。 EC専用の物流倉庫はない。「一点ものが多く、保管して発送はしていない」(コメ兵 リテール統括部 オンライン事業部 内藤千賀子氏)と話し、EC向け商品もほぼ全て店舗に在庫があり、発送している。ECと店舗に隔たりのないシームレスな在庫管理が特徴だ。 ECサイトで商品を検索すると在庫のある店舗が自動表示される。高額であるため、品物の状態を実際に確認したいというニーズが高く、店舗へ来店して実物を確認後に購入するケースも少なくない。希望する店舗に在庫がない場合は、近隣店舗から品物を取り寄せる「取り寄せサービス」を活用してもらっている。さらに、商品が届いてから3日以内の「返品保証サービス」を付加することで安心な利用につなげている。 <「O-PLUX」サービス導入> 高額で換金性が高い品物を取り扱っているため、2015年頃から新品や未使用の時計やカメラ、ブランドバッグを狙ったクレジットカード使用の不正注文が発生した。早い段階から「3Dセキュア」を導入していたこともあり、チャージバックの対応件数はそれほど多くなかったが、不正利用件数が多くなってくると、「クレジットカード会社から対策を求められた」(内藤氏)と言う。 以前は、社内スタッフによる目視だけのチェックで、不正利用されやすい品などについて不審な特定のドメインや、読み方に違和感がある文字などがないか確認していた。 クレジットカードの不正が複数件発覚した2023年頃、過去の不正注文と傾向が変わってきたタイミングがあった。「見た目では不審な点が分からず、このままの目視によるチェックでは難しい」(内藤氏)と判断し、不正検知サービスの導入を検討し始めた。 さまざまな不正検知サービスを比較した結果、かっこが提供する不正検知サービス「O-PLUX(オープラックス)」を選び、2024年8月に導入した。コスト面や導入実績に優れていたほか、ネガティブ情報や、空き室情報などが共有されていることが魅力となった。不正利用の判定がリアルタイムで判断されることから「ユーザーの購入体験に大きな影響がない」(内藤氏)ことも決め手だったという。 <導入後チャージバックはゼロに> 導入から約4カ月が経過した時点の成果について、コメ兵によると、クレジットカードの不正利用件数が1件、チャージバックはゼロだったという。「O-PLUX」の判定結果に基づいて商品発送を取りやめたケースもあるという。 内藤氏は「従来の目視チェックでは実現できなかった。担当者の心理的な負担の軽減もできている」と話す。先に導入していた「3Dセキュア」と不正検知サービスを併用したことで、より高い効果につなげているようだ。 【不正注文検知サービス「O―PLUX」サービス概要】 不正注文検知サービス「O-PLUX」は、データサイエンスを活用した独自の審査ロジックにより、不正注文をリアルタイムに検知し、クレジットカードのなりすまし注文、悪質転売、後払い未払いなどの不正被害の防止・審査業務の自動化を実現するクラウドサービス。審査に電話番号の開通状況や空き室情報、端末情報など幅広いデータを用いるほか、累計11万サイト以上で不正情報を共有する。それらのデータ分析から導き出した不正者特有の怪しい行動がないかなども判断している。
日本ネット経済新聞