ユーロ圏労働市場、異例の底堅さ終了か ECB報告
[フランクフルト 6日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は6日公表した経済報告で、ユーロ圏労働市場の異例の底堅さが今後も続く可能性は低いとの見方を示した。市場を支えていた一時的な要因に陰りが見られるという。 ただ、労働市場が劇的に悪化することはないとの見通しも示した。 ユーロ圏の失業率は過去最低の6.3%。ユーロ圏経済は過去1年、停滞が続いているが、企業は人員の採用を続けており、一部で不可解な現象との声が出ていた。 ECBによると、雇用は通常、実質域内総生産(GDP)伸び率の半分程度のペースで増加するが、22年以降の雇用拡大ペースはGDP伸び率を上回っている。 ECBはこうした状態は「異例」だとし「企業は利益率が上昇しているため、売上高の減少にもかかわらず、通常より長く人員を維持することができた」と述べた。 ただ、足元では実質賃金が上昇し、過去のトレンドに迫りつつある。一方で重要な投入コストであるエネルギー価格が安定しているため、GDPと雇用の乖離が縮小しているという。 「労働者の囲い込みは2022年第3・四半期にピークに達したが、企業が従業員を維持する能力や意欲は現在、徐々に低下している」とし「ユーロ圏の労働市場は、GDPとの過去の相関関係に再び近づいていくことが予想される」との見方を示した。 ただ、労働市場が今後劇的に悪化することはないとも指摘し「失業率は今後数四半期、低水準を維持する見通しだ。全体としては今後の労働市場が比較的安定することが調査データで示されている」と述べた。