C大阪の大久保嘉人が挑む開幕4試合連続ゴール記録の価値とは?
開幕3試合で4ゴールをあげる絶好調ぶりを物語る上で、バロメーターの類があるのか、と問われた大久保が返した言葉にこそ、セレッソで蘇りつつあるストライカーの感覚が凝縮されていた。 「ゴール前で余裕をもてているのが大きいです。あとは、シュートを打てば入りそうな気がする、という感じはありますね」 余裕の源泉をたどれば、古巣で出会った新たなチームメイトたちに行き着く。坂元に先駆けて、柏レイソルとの開幕戦の先制点と川崎戦の2点目で、右サイドバックの松田陸とのホットラインを開通させた。左サイドバックの丸橋祐介も利き足の左足から良質なクロスを送ってくる。そして、中盤ではコンディションを完全に復活させたキャプテン、元日本代表の清武弘嗣が攻撃を差配する。 点取り屋の仕事だけに専念できるピッチ上の状況が、さまざまな経験が詰まった引き出しから瞬時に必要な項目を引っ張り出せる余裕を生み出す。そして、蘇ってきた手応えが「よっしゃーっ」を、さらには「打てば入る」という自信をどんどん導く好循環を生み出している。 ただ、柏戦こそ勝利したものの、2ゴールをあげた川崎戦、先制点に続いてMF原川力の勝ち越しゴールもアシストしたFC東京戦は、ともに2-3で逆転負けを喫した。黒星が先行したなかで、セレッソがあげた6ゴールのうち5つに絡んでいる大久保は、チームの勝利に直結するゴールやアシストを追い求めていくなかで「これから」を強調する。 「チームとしてかなり痛いですけど、ポジティブにとらえれば、3試合目で課題が見えた。まだまだ試合が多いなかで、修正しなければいけないところが早く見つかってよかったと思っています」 清水を率いるミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は、2019シーズンから指揮を執ったセレッソを、堅守をベースにした戦い方で2シーズン続けて上位に導いた。しかし、契約延長が見送られ、退団が決まった昨オフには、フロントに対してファン・サポーターから大きな批判が浴びせられた。 リーグ最多失点を献上した昨シーズンは16位にあえいだ清水は、開幕戦で鹿島アントラーズを3-1で下すなど、スペインの知将のもとで変貌を遂げつつある。さまざまな意味で注目を集める一戦で、J2の東京ヴェルディでプレーした昨シーズンは無得点に終わった大久保がゴールを決めれば、J1歴代最多を独走する通算ゴール数は「190」に伸び、前人未到の「200」へ向けたカウントダウンに入る。 (文責・藤江直人/スポーツライター)