2024年注目のWeb3新興企業5社:日本と世界で異なるリスクマネーの流れ
DEA:社会インフラの整備と民衆の力を“エンタメ的”につなぐ
会社名:Digital Entertainment Asset Pte. (デジタルエンターテインメントアセット)本社:シンガポール共同創業者:吉田 直人氏、山田 耕三氏資金調達額:約2,100万ドル出資企業・投資家:楽天 Capital、KDDI Open Innovation Fund、Jafco Asia、テレビ東京、JA三井リース、クリーク・アンド・リバーなど採用しているブロックチェーン:イーサリアム(Ethereum) DEAは2人の日本人創業者が立ち上げたスタートアップだが、その設立場所はシンガポール。2020年に「PlayMining」というGameFiプラットフォームの運営を始め、いわゆる「Play-to-Earn(ゲームをプレイして稼ぐ)」の領域で事業を広げてきた。ユーザー数は世界100カ国以上で270万人を超えるという。 これに加えて、DEAが東京電力と共同で進めているプロジェクト「ピクトレ~ぼくとわたしの電柱合戦~」が話題を呼んだ。インフラ先進国とはいえ、例えば地中に埋まる上下水道管の老朽化は日本の社会課題の1つにあげられる。このピクトレは電力の送電インフラの一部を維持する方法として、民衆の力を活用する無料の携帯ゲームアプリだ。 参加者は電柱やマンホールなどの写真をスマートフォンで撮影し、撮影した電力インフラ資産同士をつないだ長さを競うというもの。これまで群馬県・前橋市や東京都の一部で実証実験を行ってきた。 参加するプレイヤーがゲームを通じて、身近なインフラ設備の保守に協力することで、設備異常の早期発見につながる。参加者は、ゲームの中での活躍に応じた報酬として、アマゾンのギフト券またはDEAが発行する暗号資産「DEAPcoin(DEP)」を取得することができる。 トークン(暗号資産)を報酬としてコミュニティの中で活動する参加者に与え、物理的なインフラネットワークを構築したり、維持するアプリケーションは、Web3の業界では「DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Network)」と呼ばれている。日本語に訳すと分散型物理インフラネットワークとなる。 7月、DEAは「スタートアップワールドカップ・東京予選」で優勝し、その存在感をさらに強めた。予選では、226社の応募企業の中から書類選考で11社が選ばれた。同月19日の最終選考会では、小池百合子・都知事や河野太郎・デジタル大臣を含む審査員が優勝企業としてDEAを選出した。 DEAは10月、米国で開催される「スタートアップワールドカップ」に日本代表として出場する。