2024年注目のWeb3新興企業5社:日本と世界で異なるリスクマネーの流れ
SARAH(サラ):食のデータを民主化するグルメアプリ運営会社
本社:東京千代田区創業者:酒井 勇也氏資金調達額:約10億円出資企業・投資家:味の素、セブン-イレブン・ジャパン、ハウス食品など採用しているブロックチェーン・技術:アバランチ(Avalanche)、World ID 人の外食行動や飲食店のメニューを評価する口コミなど、食のデータを記録するブロックチェーン「ONIGIRI Chain(オニギリチェーン)」を開発しているのが、東京・神田神保町に本社を置くSARAHだ。食に関するデータを、個人のプライバシーを守りながら蓄積し、将来的には保険などの金融や、医療・ヘルスケアの分野でも活用できる仕組みを作ろうとしている。 これまで食に関するデータは相対で価格が決められてきたが、トークンを介すことで市場価格による価格付けが可能になるという。今年7月、SARAHはスタートアップイベント「IVS Crypto 京都」の一環として開催されたコンテストで優勝を収めた。 ユーザーがスマートフォンのグルメアプリを通じて活動するデータをブロックチェーンに記録し、そのデータが人の嗜好にマッチした食品の開発や、人の健康管理、優れた保険商品の設計などに活用されれば、SARAHの事業は社会の課題解決に繋がる可能性がある。 8月、SARAHは「Worldcoin(ワールドコイン)」が開発したID認証技術の「World ID」を採用する計画を発表した。ワールドコインは、米OpenAI(オープンAI)創業者のサム・アルトマン氏が手掛けたプロジェクトで、「Worldcoin トークン(WLD)」と引き換えに、人の目の光彩などをスキャンしてWorld IDを発行するというもの。 また、SARAHはブロックチェーン上で発行・取引されるトークンを軸に、飲食店・食品メーカーと消費者で形成するトークンエコシステムを作ろうとしている。消費者は、特定のお店を贔屓にしたり、常連客である証として機能する「NOREN」を、決済通貨のような働きをする「UME」トークンを使って購入できる。その際、UMEは飲食店側に支払われる仕組みだ。 外食や、家庭の外で調理された食品をテイクアウト/デリバリーして家庭内で食べる「中食」などのデータ活用は、日本に限ったことではない。SARAHがアジアや世界の美食市場でいかに事業を拡大できるかは要注目だ。