『虎に翼』脚本・吉田恵里香に聞く。あらゆる立場の女性を描くこと、憲法第14条への思い 「寅子だけが正しいわけではない」
伊藤沙莉さんが主演を務めるNHK連続テレビ小説『虎に翼』が、9月末に最終回を迎える。日本初の女性弁護士・のちに裁判官となった三淵嘉子さんの実話をもとにした本作の終盤では、戦争責任を問う原爆裁判や、性的マイノリティの権利などについても描かれた。 【画像】『虎に翼』場面写真 「寅子だけが正しいわけではないし、寅子も間違えることがある。それが大事かなと思いました。みんな間違えるし、駄目なところもある。あまり美化しないことは、すべてのキャラクターに関して気をつけた」 脚本を書き終えた吉田恵里香さんは話す。いよいよフィナーレを迎える『虎に翼』について、メディアの合同インタビューで聞いた。
「みんなが、心からなりたいものになれたらいい」あらゆる立場の人物を描く理由
―女性の社会進出をテーマに描くにあたって、法律だけではなく家庭の問題など、あらゆる人間関係を多角的に描いています。女子部の同期たちの人生も卒業したら終わりではなく、ずっと続いています。描くうえで意識されていたことがあれば教えてください。 吉田:今回、人権や「自分の人生を自分で決める」ということをテーマにしていますが、寅子だけでは描ききれない部分が多かったので、女子部のみんなを最後まで出演させることは最初から決めていました。役者の皆さんの力もあり、メンバーみんなが愛される存在になったのは、すごく嬉しく思っています。 描き方に関しては、自分自身が働いているので、どうしても働いている側に立ってしまう。そうすると視野が狭くなってしまいますが、それは嫌でした。心からなりたいものにみんながなれたらいいと思っていて、バリバリ働きたい人、ほどよく働きたい人、家庭に入ってみんなを支えて家を守りたい人。自分を発揮するために、心から望んだところにみんながいけることが一番だと思っています。 それを描くにはどうしたらいいかと考えたとき、専業主婦の花江など、すべての立場から書かないとフェアじゃないと思い、そこはすごく配分として気をつけました。 だから寅子だけが正しいわけではないし、寅子も間違えることがある。それが大事かなと思いました。みんな間違えるし、駄目なところもある。あまり美化しないことはすべてのキャラクターに関して気をつけたところだと思います。 ―視聴者からすると感情移入できる人が誰かしらいる、という感じでしょうか。 吉田:そうですね。そうなったら嬉しくて、だから、すごく嫌いなキャラクターがいてもいいなと思っています。でも、誰かに寄り添って見たとき、それまで見えていなかった視野が見えたりするので、そういった体験がつくれたらいいなと思いました。