日仏トップパティシエが夢の競演。ヴァローナ社と考える「食の未来」とは? 第1回「É-Cothèque(エコテック)」潜入レポート
フランスのアイストレンドは「包材削減」、日本では「特別感」が主流
トークは「アイスクリーム市場」についての話題から。フランスでは10年連続で平均3%の伸び。日本も同じく、前年比110%で成長するアイスクリーム市場。世界全体で「温暖化」傾向にあり、アイスをはじめとする「氷菓」は今後も注目すべき市場です。フランスではショコラやナッツなど、クラシカルなフレーバーが人気。定番の味をいかに美味しく、新しく魅せるかがポイントなのだとブエ氏は話します。ゲストに配られたのは、ブエ氏が考案したフィンガー・グラッセ。全パーツにてヴァローナ ジャポンが取り扱う素材ブランド、ナッツのPariani(パリアーニ)、バニラの「Norohy(ノホイ)」、チョコレートの「Valrhona(ヴァローナ)」)を使用。プラリネ、キャラメル、バニラ、ビターチョコレートといった誰もが好きな味の組み合わせを、パティスリー感覚で楽しめるもの。「ケーキのように層がある構成で、かつ片手で食べられるんだよ」とブエ氏。フレーバーだけでなく、包材をどこまで削減できるかがトレンドで、気軽に食べられるフィンガータイプが主流になりつつあるのだとか。エコ意識は非常に高く、脱・プラスチック化が加速しているそう。ブエ氏は日本に来て、包装プラスチックの多さにカルチャーショックを受けた、とも話していました。一方、日本のトレンドは「特別感」「写真での共有」と語る柴田勇作氏。パフェや皿盛りデザート、かき氷などで表現されるペアリングや、わざわざ行って食べたいと思わせる価値提供が大事だと話します。プロフェッショナルが集まるこの場では、アイスクリームについての製造技術やフレーバーの組み立て、使用する材料など専門的な質問も飛び交っていました。トークセッション後はシェフの技術を駆使したソルベが振る舞われます。左上から、フルーツピューレ「Adamance(アダマンス)」ブランドのラズベリーとストロベリーを素材としたフレッシュなソルベ。その下がクラッシュしたパイナップルを丸ごと入れたソルベ。この2種は柴田氏が準備したもので、油分を含んでいないにも関わらず、驚くほどクリーミーでなめらかです。「糖分の使い方でテクスチャは調整できる」とのこと。試食後にもゲストに囲まれ、丁寧に個別質問を受ける姿が印象的でした。右側はブエ氏のレシピです。上が「Pariani(パリアーニ)」のピスタチオを使ったなめらかでナッティー感溢れるプラントベースアイスクリーム。その下が「Adamance(アダマンス)」のマンゴー・ピューレで極上のマンゴーを楽しめるソルベ。