若者や女性、子ども連れも炊き出しに――生活支援団体が語るコロナ後の変化
コロナ禍がきっかけで生活に困窮している方が増えている。路上生活に至らないまでも、家賃を払うので精いっぱいという方や、家賃が払えずにネットカフェに長期滞在している方など、一見して生活に困窮していることがわからない方が増えているのが、コロナ禍の貧困の特徴だ。 路上生活者や生活困窮者に対し、安定した住まいに移れるよう支援をする、一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事でビッグイシュー基金共同代表を務める稲葉剛さんに、コロナ禍による貧困問題の現状について聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
コロナ禍で若者や女性の仕事が減少
コロナ禍をきっかけに仕事を失った人の数が大幅に増えている。総務省統計局「労働力調査」によれば、2021年11月の完全失業者数192万人で、コロナ禍になる前の2019年11月よりも約35万人増えている。2020年のピーク時に比べると、2021年の完全失業者数は減少傾向にあるものの、コロナ禍以前の水準よりもまだまだ高い。状況が大きくは改善していないことが伺える。
――稲葉さんが路上生活者の方への支援をされているなかで、コロナ禍になって何か変化を感じることはありますか? 稲葉さん: 生活が困窮している方の数自体も増えているのですが、最も特徴的なのは、これまで相談に来ていなかったような方が相談に来られるケースが増えたことだと思います。 例えば、これまで炊き出しや食料支援に来られる方は中高年の単身男性で、路上生活が比較的長い方が多かったのですが、コロナ禍に入ってからは若い方や女性、お子さん連れの方もいらっしゃるようになりました。 路上生活にまでは至っていなくても、家賃が払えなくなってネットカフェ生活をしている方や、家賃を払うのに精いっぱいで生活費が残らず、支援団体の炊き出しに並んで何とかしのいでいる方もいます。炊き出しを利用する方の範囲が広がっていることがコロナ禍の貧困の特徴だと思いますね。