若者や女性、子ども連れも炊き出しに――生活支援団体が語るコロナ後の変化
■コロナ禍をきっかけに相談に来られるようになった方の一例 ・仕事がなくなって帰る実家もなくホームレス状態になった、10代の児童養護施設出身の方 ・年金とアルバイトで生計を立てていたが、コロナ禍でシフトに入れなくなり、家賃が払えなくなった方 ・飲食業を中心とした対人サービス分野で働いていたが、緊急事態宣言などの影響を受けて仕事がなくなった方 ・難民申請中などの事情があって在留資格がなく、就労も生活保護の利用も認められていない外国籍の方 ――そうした方々に対して、どういった支援をされていますか? 稲葉さん: 炊き出しなどの食料支援や医療相談のほか、「まずは安定した住まいを提供することを最優先に行うべき」とするハウジングファーストの考えのもと、路上生活やネットカフェ生活をしていた人たちを受け入れ、安定した住まいに移れるまでの支援や生活保護申請の同行などを行っています。
コロナ禍で売上が苦戦する『ビッグイシュー』
――稲葉さんが共同代表を務められているNPO法人ビッグイシュー基金について教えてください。 稲葉さん: ビッグイシューはもともとイギリスで始まったホームレス支援の方法で、住所のない方でも仕事をして生計を立てられるように、ホームレス状態の方だけが販売できる雑誌を作って売っていただいております。日本では2003年から大阪と東京を中心にスタートしました。 雑誌を作り、路上生活をされている方々に1冊220円で仕入れてもらって、450円で路上販売してもらう。1冊売れるごとに230円がご本人の収入になる仕組みです。 ビッグイシューを購入する際は、街角に立って雑誌を販売している路上生活者の方に声をかけなければならないので、初めて買うときはためらったという話もよく聞くんですけれども、勇気を出して声をかけて雑誌を1冊買う行為自体が、社会を変える一歩になっている部分もあると思いますね。 そして、生活困窮者の生活支援や住宅支援、文化・スポーツ活動をサポートするのが、NPO法人ビッグイシュー基金です。雑誌作りをしている有限会社ビッグイシュー日本が仕事づくりをサポートし、我々はそれ以外のところをサポートしています。 外出自粛が求められるコロナ禍では、雑誌の売上にも影響があり、ビッグイシューを販売してくださっていた方に限って言えば、コロナ以前に比べると売上が苦戦している方がやはり多くなっています。こうした状況を鑑みまして、ビッグイシュー日本の立ち上げ以来初の通信販売を行うことにしました。得た売り上げは、販売者の方に現金や物資を給付するかたちで生活をサポートしています。