いまだ日本に残るきょうだいの男女格差。母と姉の面倒を見るリアル・シンデレラ、実家を相続できても固定資産税が払えない?
◆現在は在宅ワーク。70歳まででも働きたい では、真紀子さんは何歳まで働くつもりでしょう。「いまの仕事が続くなら、70歳まででも働きたい。今ぐらいのペースなら働けると思う」。ただ、独り暮らしをするほどの報酬はもらえません。「もう諦めました。この収入じゃ、家賃を払うのは無理です」。では何のために働くのかといえば、「お金をもらうことと、細々とでも社会と関わること」のためです。 実は真紀子さん、父亡き後の2010年から、本格的にフリーランサーとしての仕事を再開。元の会社からの受託で、大きな仕事を請け負いました。これが、どんどん多忙になりました。会社員だった時と同じように働き、管理職でもないのに責任も負いました。なんのために退社してフリーになったのか。東日本大震災の年には、あまりに大変で、「燃え尽きました。もう、やりきった!って思って。これからは、自分の好きなことをしたい、実入りが少なくても良いから、したいことをしたい、って。バーンアウト症候群ですよね」。45歳でした。 その後、バイトを探していて、もともと好きだったアートに関わる仕事の求人広告を見つけ、時給900円から働き始めました。ところが「能ある鷹」の爪には気付く人がいるものです。バイト先の会社の親会社に、真紀子さんの英語力を生かせる仕事があり、親会社から引き抜かれました。業務委託の契約労働で、事務職です。それが、今まで続いている仕事です。コロナ時期に在宅ワークになり、コロナ後も基本的には在宅勤務で、出社は週に1日程度です。 「いま、在宅ワークだから働き続けられますけど、これで通勤しなくちゃいけなかったら、無理です。生活が回りません」 というのも、姉と母との3人暮らしが、なかなかストレスが溜まるからです。結局は一番年若い真紀子さんが、なんだかんだと2人の面倒を見る羽目に陥っています。
◆何をしてあげても感謝すらしない姉 母の食事の世話は、姉と半分ずつ負担しています。かつては家事全般を担い、料理もしていた母ですが、さすがに最近は作りません。もし、真紀子さんが都心まで通勤すると、片道1時間半はかかります。帰宅は早くても7時半~8時半になるでしょう。となると、母の食事の支度を、姉1人に負担させることになります。姉の職場は実家から車で30分程度と近いですが、毎日、仕事から帰った姉に食事を作らせるのは酷でしょう。なので真紀子さんは出社が必要な働き方は無理です。もし今の会社で出社日を増やせと言われたら、困ってしまいます。 ずっと独身の姉は、実家を出たことも、独り暮らしをしたこともありません。専業主婦だった母が元気だったうちは、家事を含め、姉の面倒はすべて母がしていたようです。「姉は脳天気というか。人にやってもらうことに慣れていて。モノは出しっぱなし、片付けられない。以前は母が片付けてたのが、母も年を取ってきてやらなくなったら、姉の私物が居間に出たままなんです。自分の部屋にすら持って行かない。ゴミも捨てない。その面倒を見るのは私なんです」と、真紀子さんはぼやきます。 例えば、夜に居間でお茶を飲んだ後。真紀子さんは寝る前に、自分のコップを洗ってから寝室に引き上げます。姉のコップも、以前は一緒に洗ってあげたのですが、ありがとうの一言もありませんでした。そもそも、自分が使った食器を洗ってもらったことにすら、姉は気付いていないようでした。 それなら放っておこうと、最近は、あえて手を出さないようにしています。すると翌朝、姉から嫌味を言われます。「ほんと意地悪ね。どうせ自分のを洗うんなら、ついでにやってくれたらいのに」と。逆に、姉が真紀子さんの食器やコップを洗ってくれることは皆無なのに。いつもいつも、姉はやりっぱなし、使いっぱなし。誰かに片付けてもらっても気付かないし、それが当たり前と感謝もしません。そういう姉の性質に、真紀子さんはイライラさせられっぱなしです。自分は姉の面倒を見るための要員じゃないのに、と思ってしまいます。