日本人の年収が増えないのは「薄利多売」のせい…時給30万円の経営アドバイザーによる「厚利少売」のススメ
■スマニューで広告単価を上げるには この経験から学んだのは、どんな業界でも、何歳であっても、厚利少売は実現できるということ。誰だって、遅すぎることはないのです。 僕がスマートニュースでブランド広告責任者を務めていたときの話です。 スマートニュースは、全国紙をはじめとするニュースメディアと連携し、インターネット上で話題になったニュースを配信するアプリです。当時の会員数は600万人、主な収入源は広告収入でした。 当時、僕が注力していたのが、スマホの全画面で表示される新たな広告の販売でした。スマートニュースのアプリを起動すると、新聞の一面広告のように画面いっぱいに表示される広告。これを厚利少売することがミッションでした。 競合だった大手新聞社の広告価格は、1回の表示当たり9円。仮に1000万人が見たら9000万円という、非常に大きな収入です。 僕は、この競合よりも、さらに単価を上げられないかを考えました。 お客さん(広告主)が広告に期待している価値とはなにか。当然、広告をたくさんの人が見て、さらにその先にあるプロダクトを買ってもらえることです。 ■「嫌われない広告」の表示方法を考えた ではどうすれば、アプリ起動時に表示される全画面広告を、たくさんの人が見て、その先の購入に結びつけられるか。 当時、スマートニュースのユーザーは、1日で平均12分、一度起動すると3~5分はアプリを見てくれていることがデータでわかっていました。 そこでまず僕が考えたのは、「広告を表示するタイミング」です。 たとえば、アプリを使用して5分後に広告が表示された場合、もし気になったプロダクトだとしても、離脱せざるを得ない状況(電車を降りる、トイレから出るなど)だったら、広告の内容を見る時間も、買う時間もありません。そのため広告の表示は「アプリ起動時にすべき」と考えました。 とはいえ、アプリ起動時にいきなり全画面の広告が出たら、クライアントは喜んでくれるかもしれませんが、ユーザー目線ではどう思うでしょうか。「わっ、広告だ」と思ってスキップしてしまうでしょう。これだと表示回数を稼げても、実際の購入までは結びつかず、価値提供としては弱くなります。 広告だとわからない、あるいは広告であっても質のよいコンテンツに見えるような工夫が必要です。 そこで僕が考えたのは、「この全画面表示は、重要度の高いニュースである」ことをユーザーに認識させることでした。