世界の長者番付トップ10内に入ったサラリーマンの稼ぎ方とは? 出世より収入…令和に求められるマインドセット
世界で最も成功したサラリーマン
さて、新しい働き方の、具体的な手段の要点は「株式とうまく関わること」だ。これに尽きる。少し極端な例だが、「Forbes(フォーブス)」誌による2023年の世界の長者番付の上位10人を見てみよう。 1位から10位まですべて、手持ちの株式の評価額が大きいことで富豪になっている人々だ。仕事の内容としては、有名投資家のウォーレン・バフェット氏が少々異質だが、多くは企業の創業者で自分の会社の株を大きく持ったまま会社を成長させて富豪になっている。 だが、この中で最も注目すべきは、第10位にランクインしているスティーブ・バルマー氏だろう。バルマー氏はマイクロソフト社の長年の社員で創業者のビル・ゲイツ氏に信頼されていたが、天才ではない「ただのサラリーマン」だ。 しかも、ゲイツ氏の後にマイクロソフト社の社長を務めたが、バルマー時代のマイクロソフトは業績が停滞した。それでも、マイクロソフトの株式を持ち続けていたら、次の社長の時代の同社の再成長による株式時価総額の増大で、資産評価額10兆円を超える富豪となって番付にランクインした。経済的には、世界で最も成功したサラリーマンだろう。 ここにいる人々はすべて、自分の時間を売って毎年報酬を稼いで、それを積み重ねて富豪になった訳ではない。彼らの資産は株式によって作られている。
株式による報酬を取り込め
株式には資産の形成をスピードアップさせる要因がいくつか組み込まれている。これからの時代に効率良く資産を作るためには、株式と上手く関わることが必要だ。 手短に言うと、株式性の報酬を利用することに成功した者は、広い範囲の労働者から利益をピンハネできる「会社」の一部を権利として持つ。 そして、その権利は、成長性まで含めて、さらに将来の分までまとめて評価された価値を「今」手に入れることができる手段でもある。だから、短期間に、大きな資産を手に入れることができる。株式の性質については、後で詳しく説明するが、これ以外にも株式には効率良くお金を作りやすい性質がある。 株式の利用方法を知っている方が断然得なのだ。 加えて、今や、お金持ちになるために目指すべき方向性は、旧来型の「リスクを取らずに堅実にポイントを積み重ねる」から、「適度にリスクを取って、早く大きなリターンを得ることを目指す」に、180度変わった。これは、ベンチャーの起業に参加するような場合だけでなく、ストックオプションをくれるような会社で働く場合の心構えについても言えることだ。 適切なリスクを取り続けることと、他人とちがう労働力になる工夫が必要なのだ。「リスクを取らずに、他人と同じように働きたい」という希望を持つと、不利な側へ、不利な側へと経済的な「重力」が働く。 経済の世界は、リスクを取ってもいいと思う人が、リスクを取りたくない人から、利益を吸い上げるようにできている。このことが、今はよりはっきりと現れつつあり、現在、その気づきの効果が大きい。 広く学生に言いたい。周囲と同じ「就活」を行って何十枚もエントリーシートを書き、仮に首尾良くまあまあの大企業に就職できたとしても、それは人生のゴールにはほど遠いし、職業人生の魅力的なスタート地点ですらない可能性が大きい。 図/書籍『経済評論家の父から息子への手紙』より 写真/shutterstock
---------- 山崎元(やまざき はじめ) 1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業。東京大学を卒業後、三菱商事に入社。野村投信、住友生命、住友信託、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一証券、明治生命、UFJ総研など計12回の転職を経験。コンサルタントとして資産運用分野を専門に手掛けるほか、経済解説や資産運用を中心に、メディア出演、執筆、講演会多数。ズバリ語る辛口の経済解説、マネーコラムで人気を博している。 ----------
山崎元
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