なぜ阪神の矢野監督はキャンプイン前日に今季限り退任を表明したのか…球団の了承と異例の決断がペナントに及ぼす影響
阪神の矢野燿大監督(53)が1月31日に沖縄でのキャンプイン前日の全体ミーティングで今季限りで退任する意向を全選手に伝え、メディアに対しても衝撃の決断を明かした。なぜ矢野監督は、この時期に異例の発表を行ったのか。そして、この動きはペナントレースにどんな影響を及ぼすのか。
「何が一番チームにとっても選手にとっても良いのか」
衝撃ニュースが球界を駆け巡った。キャンプイン前日の全体ミーティングを終えた矢野監督が、報道各局の取材に対して「今シーズンをもって退任しようと思っている」と衝撃の決断を明かし、すでに選手に伝えたことを説明したのだ。 関西のテレビ各局は夕方のニュースで緊急速報として伝え、ABCラジオなどでは、そのインタビューの音声が流された。 なぜ、この異例のタイミングで矢野監督は「今季限り退任」を表明したのか。 矢野監督は、「続投要請を球団からしてもらっていた時に自分の中でも色々考えることも多かった。何が一番チームにとっても選手にとっても良いのかなという中でシーズンが終わって決めました」と説明したが、実は、3年契約が終了した昨年オフに新たに1年契約を締結する際、球団に対して「長々とやるつもりはない」と、この1年を最後に勝っても負けても退任する意向を伝えていた。 1年勝負。だからこそ、今季のチームスローガンを「イチにカケル」とした。 もちろん、それを球団、監督共に内に秘めたままシーズンを戦う選択肢はあった。だが、優勝を逃した昨シーズンは、ネットのコメント欄やSNSが監督の采配批判で何度となく炎上した。 ヤクルトとの試合でサイン盗みの疑いをかけられる大騒動が起きた際には、矢野監督の指揮官としてあるまじき暴言が電波にのり、批判は大炎上。手がつけられない状況に監督自身の神経もすり減り、チームにも少なからず影響を与えた。矢野批判の矛先は「矢野辞めろコール」へと向かった。 勝負の今季こそはグラウンド内だけに集中したい。雑音を封じ込めるには、自らの進退をシーズン前に明かすという“禁じ手“を使うしかなかった。