2024年秋ドラマ23作、“視聴率無視”で採点「実話ベースの感動作」「定番“イヤミス”からの令和版アップデート」
■『マイダイアリー』 日曜22時15分~ ABC・テレ朝 出演者:清原果耶、佐野勇斗、吉川愛ほか 寸評:大学生が持つ等身大の悩み、受け入れ合う過程、何気ない日々の尊さ。なかでも「どこか物足りない学生生活、どうすれば残りの年月を悔いなく過ごせるのか」を描く青春グラフィティとしての価値は高く、日曜夜に最適な癒しも感じさせる。ただ、「私はふと人生の日記を読み返したくなった」というモノローグからはじまるが、わずか2年前の回想であり、「わざわざ振り返るほどの年月か」は疑問。ABC制作の同枠はオリジナルにこだわり、当作は若手脚本家の兵藤るりを起用するなど、どこよりも意欲的だけにそろそろヒット作がほしい。また、今秋から放送枠が「15分後倒し」になったが視聴者軽視の編成に見える。 採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
■『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』 日曜22時30分~ 日テレ 出演者:堀田真由、仁村紗和、長濱ねる、畑芽育ほか 寸評:150年以上前に出版された『若草物語』がどうというより、「四姉妹の物語」が今、視聴者に響くのか。しかもメインテーマは恋愛と結婚であり、「姉妹での違いを描きやすく、誰か共感できる人物がいるだろう」という価値観の多様化に合わせたプロデュースがうかがえる。四姉妹を扱うことで「エピソードの密度が薄くなる」こと、最大の注目が「日テレドラマ制作の自己批評とみなされがちな」ことが気がかり。 採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆】
■ 木村隆志 きむらたかし コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月30本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。
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