2024年秋ドラマ23作、“視聴率無視”で採点「実話ベースの感動作」「定番“イヤミス”からの令和版アップデート」
TBSが誇る制作チームが満を持して挑む
■『3000万』土曜22時~ NHK 出演者:安達祐実、青木崇高ほか 寸評:NHKの脚本開発プロジェクトWDR(Writers Development Room)の第1弾で業界内の注目度は高い。物語は連続性がある一方で、展開ありき、辻褄合わせありきで偶然に頼るところも。「次が見たくなる」という中毒性があるだけに、1週間空く連ドラより一気見向きか。追い込まれていく安達と青木の演技を楽しむ作品でもあり、逆にそれ以外に有名俳優を起用しないことが、予測不可能なムードにつながっている。グループライティングの可能性を探る第一歩となったのは確か。 採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
■『私たちが恋する理由』 土曜23時~ テレ朝 出演者:菊池風磨、久間田琳加、山崎紘菜ほか 寸評:STARTOのアイドルがベースのドラマ枠でいわゆる「キュン」シーンが必須だが、当作は感情描写もしっかり。令和の上司と部下が抱える距離感の難しさを丁寧に描いている。「近づいたと思ったけど、まだまだ遠かった」というもどかしいシーンの連続は、刺激や急展開を求めがちな令和の恋愛ドラマとしては貴重。菊池と久間田の相性も上々か。 採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
■『バントマン』 土曜23時40分~ 東海テレビ・フジ 出演者:鈴木伸之、倉科カナ、坂東彌十郎ほか 寸評:ビジネスシーンをいちいち野球にたとえるのはシュールかつ希少な一方、究極の福利厚生施設「シークレット・ベネフィット・オーガニゼーション」という設定には無理があり、各エピソードにひずみが出ている。ネットで何かと話題の中日ドラゴンズ全面協力で野球シーンの映像はなかなかの仕上がりで、鈴木のバッティングは一見の価値あり。 採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
■『海に眠るダイヤモンド』 日曜21時~ TBS 出演者:神木隆之介、斎藤工、杉咲花ほか 寸評:「70年にわたる愛と青春と友情、そして家族の壮大なヒューマンラブエンターテインメント」というコンセプトは“日曜劇場全部乗せ”の感。描かれようとする“古き良き時代の人間が持つ熱さ”は決して時代錯誤なコンセプトではなく、終盤は令和の現在に通じる希望を見出すような作品になりそう。TBSが誇る制作チームが満を持して日曜劇場に挑んだ作品だが、初回は肩の力が入りすぎていた感も。脚本・演出・キャスティングともに迫力十分だが、過去作のように抑揚をはっきりつけたほうが、視聴者の心を動かすのではないか。 採点:【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆☆】